少年の独り言。
更新が一週間以上あいてしまった・・・。話は一度書いたけど、他の作家さんの展開に影響されすぎて
ボツ。もうしわけない。
少年ルナティカは割り当てられた部屋で一人、整理する。
本名マサヒロ。ここに来るまでの必要な経緯といえば、どこからだろう。
この建物には魔の者に強制的に送られた。魔の者を追っていたのは事実だ。だが目的の本丸ではない。
一人の獣人、マリメルを探す上での情報が「その先」にあると思っていたからだ。
マリメルはマサヒロ側の世界に[逃げ込んできた]獣人だった。
魔王の衣、と呼ばれる装備品の素体を持って元の世界から逃げていると言っていた。
衣を作り上げる技術は既に遺失技術とされているが、本当に失われているかどうかの保証はない。
魔王になろうとする者たちが現れ始めてきた中でこの素体をどこかに隠さなければと逃げ続けていると。
マサヒロの世界には獣人など物語の中だけの絵空事。その存在がもう常識が通用しない話なのだと
少年はマリメルの話を受けていた。マリメルは少年に賭けて素体を隠す様にお願いをした。
マリメルは自分が見つかる事で素体の在り処まで見つかる前に姿を消した・・。
素体、というがただの紫の布きれだ。魔素が多く入っているという説明だがそもそも魔素なんて言葉が
マサヒロの世界には概念も言葉もない。その素体にマサヒロは選ばれてしまった。
張り付いたとか同化したとか侵食されたとか。布が大きく広がり彼を包み込み消えてしまった。
消えたことが何故同化と感じたかといえば[異質の能力が備わったから]そう説明付けたから。
視覚的触覚的に騙す能力、幻術。発火、爆発といった能力がついた。
別にその力を使ってヒーローにもなろうとも悪事を働こうともしなかった。単純に面倒だった。
一年前に母を失い、父が再婚相手を紹介したりと生活の変化にうんざりしていた。マリメルにもう一度
会えば素体を外せるのではないか、もう十分隠す時間を自分は果たしたのではないかと思ったのだ。
そう思い続けたなかで、次の異世界人が現れた。
「君はマリメルを探しているのだろう」
その言葉に従い別世界へきてすぐに魔の者の襲撃を受けた。
「ようこそ、クルウリカまで。我々は君が来た理由も状況もわかっている。ただ邪魔なので、しばらく
消えてもらいたい」
そう彼らは告げた。敵三人にたいして自分一人。自分を連れてきた人物は転移した時には居なかった。
仲間だったのかもしれない。
リーダーらしき人物は手を出そうとはしなかった。他の二人が自分の相手になるようだと思って身構えた
直後に、背中から指よりも細い金属が少年を貫いた・・・
赤く染まったシャツ。すぐに治ったが、戦いというものを身近に感じたことのないマサヒロにとって、
大きな心のダメージだった。
力の差があれば一瞬で消される。魔王の衣の素体を身に受けて、いくらか異質の力を操れてもここでは
大した優位な状況ではないことを知った。しかしマリメルに繋がる糸をいま掴み始めている。
魔の者を一人で探すリスクを考えれば、郁沙も弁慶もともに行動すれば心強そうだ。
ガルダンの同族を探す旅に同行する話を切り出してみよう・・・