少年、対応をせまられる
イツキは砦のどこに侵入者が現れるか、
どこに現れても当主のリリエラに害が及ばない
様に想定をしながら、当主の周辺を何度か見回り少しずつ捜索の範囲を広げていく。
当主は自称二度の魔女。
自分は吸血鬼の因子を持つ亜人。
高位の吸血鬼だった数世代前からみれば
吸血鬼と呼べるくくりかどうかも怪しいが
逆に弱点とされた日光や聖属性には耐性がある
ごくごく平凡な兵士や野盗であれば、百人程度で
砦を奪いに来ようが撃退はできる。軍隊規模の勢力には敵わないものの、戦略的な拠点としての要素が低い事から狙われることは少ない。
むしろ霧の特性上、攻める事の面倒さや拠点として補給面の不利さがたってしまい、狙うことに意味がない、という声の方が強い。
イツキが廊下から外を見ると霧が薄くなっていくのが見えた。侵入者が来て、外が見通し易いならそのままどこぞに逃げてくれてもいいのだが、
この砦の住人が女二人だと外に漏れてしまうのは正直良い話ではない。
何事もなく片付けたい、という結末に向かうのなら侵入者を消すのが最善となる
物音がした。リリエラのいる部屋ではない。
つまりは侵入者。物音の出所を絞っていき、侵入者がいない部屋を一つ一つ選択肢から外し、
あと二つの部屋に絞りこむ。音の発生から考えて確率の高い部屋の扉に手をかけた