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見えない壁、その向こうには。  作者: 山口 佳
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4章 (大学生生活の始まり。)

いよいよ上京しました。


 入学式が終わり、学科の初日。

理学療法科は、単位取得もあるのだが、実習や実技などあるので、ほぼ皆が同じ授業を受ける事になる。

クラスのように、理学療法科の生徒全員が一緒に受ける授業が多いのだ。


 学科担任に、1学期の間は学生番号順に座るようにと言われた。80人以上いる学科生は、立ち上がり、順に座っていく。


 麗奈は自分の席に座り、横に座ろうとした、青年の顔をちらっと見たその時、あやふやになりかけていた顔が一瞬で8Kテレビのような鮮やかな画像に戻り、さらにそれは現実に戻った。


 お互い、一瞬びっくりした顔となったが、すぐに青年は微笑み、麗奈の横に座った。


「久し振り。手は良くなったみたいだね。また、会えるとは思わなかった。しかも隣だね。よろしく。」


「本当にあの時は、ありがとうございました。また、」

と、言いかけたが、学科担任の話が始まったので、途中で止めた。


 隣の席に座ったのは、受験の日に病院に付き添ってくれた青年だったのだ。

なんだか、突然の再会で、麗奈はドキドキしていた。


 出席番号順に担任に名前を呼ばれ、名前順で返事をしたのだが、青年の名前は近藤陸という名前で、小林麗奈の次であった。

 もしかしたら、会うかもとは思っていたが、まさか隣の席になるとは思いもしなかった。


 その日は、これからの授業の事など、少し話しただけであったが、毎日会うと自然と会話も増えた。


 陸は23歳で、今まで、バイトをして学費を貯めてきたという事。

もともと、溝ノ口が地元である事。

兄弟はおらず、母と2人暮らしだという事。

聞きやすい質問はしてみて、陸の事を少しずつ知る。


 麗奈も、自分の家族の事、祖父や祖母、叔母の事。

山梨の風習の事、方言の事など、よく陸に話した。

陸は、とても楽しそうに話のやり取りをしてくれて、何気に気が合った。

 麗奈だけがそう思っていたのかわからないが、陸と話すのは居心地が良かった。


「陸はいつも何をスマホで聴いてるの?」


「フライデーWOOだよ。」


「うそ、私大好きだよ。フライデーWOO。陸も好きなの?」

「めちゃくちゃはまっているよ。」


フライデーWOOは、男女ツーボーカルのバンド名なのたが、週末の金曜日は気分が盛り上がり過ぎてWOOっと叫びたくなるという名前のバンドなのだ。

ここ1・2年で若者に人気が出てきていた。2人はフライデーWOOでさらに意気投合する事となった。


 大学生活が1ヶ月ほど過ぎようとしている頃には昼休みに、学食に行くメンバーが大体決まってきていた。


 メンバーは大概6人なのだが、陸とは反対側の左横隣に座る、熊澤紗耶香という、同級生。陸の前に座る唐沢和也20歳、麗奈の前に座る河合美穂26歳、熊澤紗耶香の前に座る遠藤真由美20歳であった。


 理学療法科は、3分の1位は現役では無い学生がいた。

この、6人のメンバーの中にも現役入学ではない学生が4人居た。

年齢層がバラバラな事により、うまくこのグループの気質が成り立っていた。


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