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メイカーズin喫茶店  作者: 終野 怜
9/19

第七話 喫茶店ただいま営業中です

5月末のある日、喫茶メイカーにて

 


「いらっしゃいませ、2名様ですか?ではこちらの席へ」

 

「すみませーん、」

 

「はい、ただいま向かいます」

 

「マスター、出来ましたよ」

 

「ありがとう。お待たせしました、チーズケーキになります」

 

「あ、いらっしゃいませ...」

 

喫茶メイカー、今日も店内は賑わっていた。バリスタ兼ホール担当で、この喫茶店のマスターである2代目店長の木崎 零は、2つの担当を気を抜くことなくこなし、それでいて息つく暇も無いくらいに忙しくしていた。

 

一方、キッチンでは

 

「マスター、大丈夫でしょうか?」

 

「休日はいつもあんな感じだよ。まあ負担が大きい事に変わりはないけどね。あたしらも余裕があったら手伝いたいけどさ...」

 

「正直きに言ってしまいますと、それは無理そうですね」

 

と、キッチンでは、料理担当の松下 彩とデザート担当の波並 千尋は、それぞれオムライス2人前とパンケーキ3人前を作っていた。つまり彼女たちは、忙しいにも関わらず、マスターの事を気に掛けていたのだ。

 

 

 

お昼過ぎ

 

「みなさん、とりあえずお疲れ様です。この時間は、人の足数も減りますから」

 

「いやそれ、あたしらのセリフだって!」

 

「そうですよ、マスターずっと動いていたじゃないですか。ちょっとでも休んでください!」

 

「自分は平気です。こう見えて体力はある方だと思うんですけどね」

 

キッチンの2人から心配をされた零は、不思議そうに呟いていた。

 

「あれ、そうなんだ。零君ってインドア系だと思ってた。何か休日とか、朝から本とか読んでいる感じで」


「え? そうなんだ...」 

  

「そうですか? 私から見たら、マスターはアウトドア系ですよ?2年前とかは、今と違っていつも家にいませんでしたし」

 

「ん? 全く逆の意見が...」


「ああ、何かさ、並木道とか散歩してそう。植物を眺めていたりとかさ、」


「??」

 

「それか、河川敷の原っぱで、体育座りをして川を見つめているのも想像できます!」

 

「....」

 

「あはは、」

 

「ふふふ、」

 

要約すると、零は2人からは“休日に朝から散歩をしてのんびり過ごす老人”のイメージということになると、零は静かにショックを受けていた。

 

もちろん、当の2人はそのことに気づくはずもない。

 

 



それからしばらく雑談をしていると、お客さんに呼ばれ、零は注文をとりに言った。残ったキッチンの2人は、注文が来るまでは暇であった。だからといって、ホールをする必要も今の時点では無かった。

 

「ねえちーちゃん、」


「なんですか?」

 

「零君って、昔からあんな感じだったの?」

 

「あんな、ですか?」


彩の問いかけに、千尋は聞き返す。

  

「まあなんと言うかさ、真面目で大人びていて、初対面の人でも普通に話しかけれて、みたいな」

 

「そうですね、私が知る限り、見た目とかは昔からあんな感じでしたよ。でも、」

 

「ん、 でも?」

 

「どちらかと言うと、無口な人でしたね。全く自分の事を話してくれなかったんです」

 

千尋の答えに、彩は目を丸くする。

 

「へえ、意外だなあ」


と、マスター雑談をしていたら、注文を受け取った零がキッチンに近寄る。

 

「オーダーです。松下さん、ピザとフレンチのトーストを1つずつ。千尋、アップルパイ2つとティラミス1つをお願いします」

 

「「了解!」です!」

 

オーダーを受け取った2人はそれぞれの作業に向かった。

 

休日の今日も、喫茶メイカーは賑やかであった。

 


  

 

 

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