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メイカーズin喫茶店  作者: 終野 怜
3/19

第二話 マスターとカレーライス

ある平日の閉店後。

 

自分は午後10時時きっかりに店のドアにかかっているプレートをひっくり返す。本日の営業時間は終了だ。

 

「みなさん、お疲れ様でした」

 

と、言っても自分を含めて3人しかいないが。

 

「お疲れ、零君」

 

「お疲れさまです。マスター」

 

料理担当の松下さんとデザート担当の千尋が挨拶を返す。千尋は喫茶店にいるときは自分をマスターと呼ぶ。松下さんは、それとは反対に自分を『君』付けで呼ぶ。にしても何故、君付けで呼ぶのだろう。そんなにも子供っぽくみえるのか?

 

時刻は午後10時。夕方から営業していたから当然だが、お腹空いたな。

 

「松下さん、今日は何か余っているかな?」

 

「え、お腹空いたの?零君」

 

「ええ、と言うか皆さんは平気なんですか?」

 

「わたしは空きましたよ。注文しちゃおっかな」

 

「じゃあみんなで食べちゃおっか。カレーがあるからカレーライスでいい?

 

「「お願いします」」

 

 

 

 

「はーい、特製カレーライス。召し上がれ!」

 

「「いただきまーす」」

 

ちなみにいうと、この喫茶店で出している料理は彼女が全て自家製で作っている。先代のレシピを使っていない故に、自分でさえ知らない。

 

スプーンですくい、口の中へ運ぶ。刺激を抑えた、子供でも食べることのできる味だ。さすが自家製で作っているだけのことはある。

 

「美味しい」

 

「はい、疲れたあとに食べるともっと美味しく感じます!」

 

にしても、辛くなくて助かった。どうも子供の頃から辛いものは苦手だ。

 

「お粗末様」

 


 

食べ終わった自分たちは、自分のサービスとお礼でブレンドコーヒーを提供して一息ついていた。

 

あ、そうだ。

 

「松下さん」

 

「ん、どした?」

 

「カレーライス、まだありますか?」

 

「え、まだ食べるんですか?」

 

「あ、いや、自分じゃないよ」

 

「まあ、あるけど」

 

「一皿お願いしてもいいでしょうか」

 

「りょうかい。と言うか、零君の頼みを断れるわけないって。マスターなんだから」

 

「あはは、すいません」

 

松下さんはキッチンの奥に行ってしまった。

 

「マスター、カレーはどうするんですか?朝食用とか?」

 

「そんな朝から食べないよ。二階に住んでいる子に届けようかなって思って

。どうせまた適当に済ませちゃうからさ」

 

「二階にいる人、どんな人なんですか?」


「高校生の女の子だよ。この喫茶店のホームページを作成してくれているんだ。」

 

「へえ、すごいですね」

 

「多分、まだ起きてると思うから持っていこうかなって思ってね。まあ、自分の自腹だけど」

 


 

「じゃあマスター、ここに置いとくね

。あの子によろしく」

 

「はい、ありがとうございます」

 

「じゃあ、お疲れ~」

 

「お疲れさまです」

 

松下さんは自宅へと帰っていった。

 

「それじゃあマスター、わたしも帰ります」

 

「うん、いつもありがとう」

 

「いいんですよ、好きでやっているんですから。感謝するのはわたしの方です」

 

「そういってくれると助かるよ」

 

「まあ、家は近くですからいつでも帰れるんですけどね」

 

「駄目だよ、明日も学校あるだろ?」

 

「はいはい、分かってますよ」

 

少し拗ねたような顔になったのは気のせいだろうか、暗くてよく見えなかった。

 

「では、お疲れさまです」

 

「うん、お疲れ様」

 

千尋のことも外まで見送って、今日やるべきことはこれで終わった。

 

あ、いやまだあるか。

 

店内に戻り、テーブルの上に置いてあるカレーライスをとる。

 

「あとは持っていくだけだな」

 

スプーンも持って、自分は二階へ上がった。

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