プロローグ 開店
初めて投稿します。短いですが、穏やかでゆっくりとした喫茶店の日々をお楽しみください。
カランカラン
「あ、いらっしゃいませ。喫茶メイカーへようこそ。1名様でいらっしゃいますか? では、こちらへ」
近所の私立高校生か。カウンターよりもテーブルの方が落ち着くかな。
「どうぞ、ご注文はこちらのメニューからお願いします」
初めて見る子だな。少し緊張しているのか、落ち着きがない。どうやら喫茶店というもの自体初めてなんだろう。
こういうときは、落ち着かせるためにこちらから情報を与えること。
「自分は、当喫茶店のマスターをしております。まあ、二代目なんですけどね。こちらにあるメニューの品は全て自家製で、一つ一つ手作りでお出ししています。いかかですか?」
「へえ、そうなんですか」
表情が緩んできている。どうやら緊張は解けて来たようだ。
「では、カフェラテとパンケーキで」
「はい。パンケーキはジャムがイチゴとブルーベリーがありますが」
「イチゴでお願いします」
「かしこまりました」
よし、担当は自分と千尋か。
自分はキッチンにいるデザート担当の波並千尋に伝えに行った。
「千尋、パンケーキイチゴジャム添えでお願い」
「はい、了解です。マスター」
千尋は穏やかな表情で頷き、パンケーキの製作に取り掛かる。
よし、自分もすぐ取り掛かろう。コーヒーとデザートの注文を受けた場合、コーヒーを先に出すのが基本だ。
自分はいつもの手付きで豆を削り、エスプレッソマシーンで抽出したコーヒーに、温めたミルクを2:8の割合で入れて完成。
「お待たせしました、カフェラテです」
「ありがとうございます」
自分はそのままカウンターに行き、キッチンの様子を覗く。ちょうどパンケーキにイチゴジャムを添えているところだった。
「はい、完成です。マスター」
「ありがとう、千尋」
完成した注文の品をおぼんに乗せ、先程のテーブルへ持っていく。
「お待たせしました、パンケーキイチゴジャム添えです」
ちょうど彼女はカフェラテを飲みきったところだった。
テーブルに置いた自分はそのまま戻る。
「では、ごゆっくりどうぞ」
さて、今日も最後まで頑張ろう。