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ボーイミーツガール。出会った少女を手篭めに

 駅の改札で私服の中学生くらいの銀髪の少女がいた。

 俺の胸くらいまでの身長しかない幼女貧乳ロリ美少女だ。

 強い日光を当てるとシースルーで見えてしまうんじゃないかというくらいの薄手のシロのワンピ。

 これはあまりまじまじと見ているとそれだけで憲兵さんに連れて行かれるレベルじゃないだろうか。

 にも係わらずじっとその美少女を見てしまったのには理由と書いてわけがある。


 彼女が手にしている紙。

 返信できたメールの同じ内容の印刷物。


 紙に書かれている主要なコンテンツはオフ会の喫茶店への地図だ。


「あれ? 『魔王になろうの』関係者??」


 声を掛けると彼女は振り向いて俺を見た。

 そして目をぱちりとさせる。

 かわいい。


「えーっと、キミわぁー。タッキー?」


 俺はうなずいた。


「僕は『魔王になろう』の≪さいてーの魔王≫、七日野ようこっていうのです」


 彼女はそしてなぜかどうにでもなれーのAAのポーズを取った。



【――自主規制――】 ← これ、いいのか?

 ※※どげざします※※

 ※※ここにふんだんにAAを書いたが後でヤバソウなことに気づいて消しました※※

 ※※こわい。のまねこ事件とか怖すぎる※※



 ――こんなの↑である。

 さすがに噴き出した。


 彼女が自称「中二の美少女」設定の『魔王になろう』のアップロード主らしい。

 おっさんだではなかったことに俺の中で衝撃が走る。

 まさか本物のJC(じょしちゅうがくせい)だったとは。しかも美少女だと。

 ドン引きだ。笑顔がまぶしすぎて話しかけずらいことこの上ない。

 最近女の子と話したことなんていつの頃だったことか。

 いつの年代か?



「なるほど。ようこたんは7尾の妖狐(ようこ)なんだね。ちなみに何歳?」


「なぜばれたし。ちなみに僕は514歳なのです」


 流行に乗って僕っ娘だ。


「名前聞けばさすがにわかるわ! そしてやっぱり中二かよ」


「さすがにって、いやいや名前だけで分かるなんて凄いですぅ。えぇ、中二の設定ですよー」


 そして記事の地図に視線を戻す。


「この地図上ならそこの道を徒歩5分だって、行きましょー」


「って、行きつけの店じゃないの?」


「今日は≪週末の金曜日≫くんの指定だしー。ちなみに金曜日くんは大学教授さんなのです」


 あぁ、いつもの参加メンバーにそんなニックネームの人がいたな。

 俺らは喫茶店に一緒に向かうことになった。



 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・


 せっかくこんなロリ美少女がいるのに無言で歩いては楽しくない。

 その道すがらなにを話そうかネタを考えていた俺。

 考えているうちに先にようこが訊ねてきた。


「で、近況報告で読んだけど、タッキーは魔王じゃなくて魔法使いになりたいんです?

 魔王さんいいんですよー。

 ニンゲンさんから魔王になった例も無くは無いんだけどー?」



「いいや俺は魔王にはならないね。

 実はー。俺はそんな魔王を使い魔にしようと思って魔法使いを表明してみる」


 ロリ美少女との会話に舞い上がっていたこともあり、調子にのって俺はそんな冗談を言ってみる。

 魔族関連の設定が多い小説の主なんだから乗ってくれる、とか考えながら。


「へ?」


「ほら、俺かわいい娘とか好きだし。ようこ。俺の使い魔にならない?」


 あ。やヴぁい。ちょっと引いた。

 2、3歩後ずさっているよ。





 ――が、すぐに戻って来た。


「あぁ、そういう設定?」


 頭に疑問符を浮かべるようこ。


「そういう設定。面白くない? 物語のアクセントにどうだろう?」


 とかいうと、ようこは真顔に考え始めた。

 その顔もかわいかった。

 なにか騙されやすそうなのは残念だったが。


「んー。普通はさぁー。使い魔って異世界から召喚するのが定番じゃない?

 それが同世界からってどうなの?

 それに――、

 例えば私がタッキーの使い魔になるとタッキーは私になにしてくれるの?

 見返りは?」


「なにも? しいていえばいちゃラブするとかどう?」


「あぁ、タッキーと毎日いちゃつくのもいいかもねー。

 話のネタに。

 あれでしょ?

 『俺と付き合ってくれれば小説に恋愛ネタをうまく書けるようになるぜ。ぐひひー』みたいなノリ?

 じゃぁ……、ホンモノは後で異世界から呼び込むとしてー、

 とりあえず今は僕がタッキーの使い魔になる、とかどう?

 あ、もちろんその辺料理して小説に適当に書いちゃうけどいいかな?」


「――それは面白そうだな」


 なんだかんだ言ってあの小説は面白い。

 どう料理されるか見てみたくもあった。ネタとして。


「じゃぁ、契約のしるしにぃー」


 そういってようこは右手人差し指を向けた。


「僕と契約の指きりをしましょうー」


 ようこが俺に右小指を突き出した。

 それはロリ美少女に触れてもいいという意味だ。


 俺は一瞬躊躇ったがまぁ「設定」だしね……


「キスじゃくて、残念だったね。タッキー」


 そしてようこの右手に触れたとたん。

 俺の脳に痺れたるような雷の衝撃が走った。


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