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ガガーリンの「地球は青かった」は不正確な引用

ジア  :「お願いがあります」


GM3 :「さぁ、タッキー、出番だよ」


タッキー:「え? 俺?」


GM3 :「そりゃ、GM(ゲームマスター)が手を出したらあかんでしょ」


タッキー:「……。それもそうだね」


GM3 :「よし。そうやってまずは好感度をあげるんだよ」


ジア  :「私はこの屋敷(せかい)からあまり出たことがないのです。

      そして姫という立場上、これからもあまり出ることはないと思います」


タッキー:「お、おおぅ。姫様ニートだと…」


ジア  :「ニート?」


タッキー:「あー。ニートなんて用語は異世界には無いって設定なんだね。

      しかしその設定で――、いろいろな場所に行きたいとか。うーん」


GM3 ;「どうしよう。いきなりゲームが詰まったよ。タッキー」


タッキー:「どうすればいいの? たすけて、ようこたん」


GM3 :「ははは、簡単なのです。つ ヒント:拉致」


タッキー:「こらこらー、姫をいきなり拉致るなー」


GM3 :「いたいたい。首絞めないでよタッキー。ってどこ触ってるのー」


タッキー:「事故だ事故ー」


GM3 :「お前は某ハーレム系主人公かぁぁ――」


 ――しばらくメッセージウィンドウの反応がなくなる。

 向こうの世界では何をしているのだろうか?


 待っている間、ジアは考える。


 拉致。


 ちょうど、なぜだかちょうどおあつらえ向きのタイミングでここには敵国の間者(リナ)がいる。

 まさか、それを狙って?


タッキー:「あー。ジアちゃんちゃんとメッセージウィンドウ見てるー。

      ちょっとスキル弄ってみたらたぶんすぐ出来るぜぇ」


ジア  :「は? 拉致が?」


タッキー:「そこ違う!

      と、このお願いを叶えるにあたって、俺からもお願いがあるんです」


ジア  :「えーと…、なんでしょう?」


 ジアは警戒した。


タッキー:「そんな身構えなくても…。

      話は簡単。

      外の世界に出たら、冒険者っぽく冒険者ギルドとか入って討伐とかやってみてよ。

      定番だとゴブリンとか狼とか?」


GM3 :「おーぃ、一国の姫になにさせようとしてんだー」


タッキー:「えー、いいじゃない。俺は戦闘シーンとか見てみたいお年頃なんだってー」


ジア  :「や、やりますー」


 ジアも昔、勇者などの英雄譚に憧れていた。

 それも叶うのであれば願ったり叶ったりだ。


タッキー:「でもやっぱり姫様でしょう? ごぶりん強いんなら、ぷるぷるしているスライムとかもいいかもねー」


GM3 :「いや、この世界のスライムって強いよ?

      スライムは基本僕達(うんえい)以外の人がこの異世界にハッキングしてきたときに押し込む聖杯として用意した器なのです。

      他にも襲われると服だけ溶かすとかいろいろ――」


ジア  :「却下でお願いします」


タッキー:「ですよねー。

      っということで輝ける冒険者活動。脱ニートに向けて本番いってみよう。

      まず確認。そこの窓の外の風景って庭?」


ジア  :「はい」


タッキー:「じゃぁほい。≪瞬間転移≫」


 ジア視点が一瞬で切り替わる。

 それは今目にした庭。


GM3 :「そして右手を地面に向けて指差し。それから≪|空中浮遊(sky walk)≫をクリック!」


 ジアがショートカットに新しく追加されていた≪空中浮遊≫のボタンをクリックすると、視点が高くなったように感じた。



ジア  :「え? 」

タッキー:「そして、≪瞬間転移≫分のMPだけ残して≪空中浮遊≫をひたすら連打! 500回くらい!」

ジア  :「え?? あ??」

タッキー:「速く! 中途半端な高さだと周りの人に見つかる!」

ジア  :「あ、はい!」


 ≪空中浮遊≫のボタンをどんどんクリックすると視点が一気に高くなる。

 やがて空気が薄くなり、寒さも感じるようになってくる。


 屋敷がすごく小さく見えていた。



GM3 :「あーあ、やっちゃったよ。もう完全に別ゲーじゃね? Minecr○ftじゃないんだからさー」


 確かにすごく寒い。息苦しい。

 しかしジアはその光景に魅了された。



タッキー:「≪瞬間転移≫で見えるところは移動できるんだから見えたところはほぼ移動できるんだよ、ね?」


GM3 :「ちょ、おま…。拉致イベントどーすんよ。拉致イベント!

      スキルポイント1点配布とか考えてたのに」



 風がすごく気持ちいい。

 ジアはその気持ち良さに身をゆだねる。


 世界は平たいのではなく、丸い。

 そして、世界は青かったのだ――


 どこかの誰かが別の物語で語ったように――




GM3 :「えー、いいと思ったのになー。拉致。そして攫われた姫を救うため、サブスキル配管工を持った魔王達が立ち上がるのだぁ」


タッキー:「そのネタはヤバイ。それ以上いちゃいかーん!」


GM3 :「赤と緑のつなぎ。必須スキルは≪空中にコインを浮かべる≫、≪下から突き上げると壊れるブロックを生成≫、≪キノコを食べるとでっかくなっちゃった≫」


タッキー:「やめろぉー!」




※参考:

スキル≪空中浮遊≫はこんな感じにしてみました。


『スキル名:空中浮遊――

習得可能 Job.Level.1 / Skill.Level.1 MAX

空間魔術の代名詞スキルの一つ。空中に浮遊できる。

高さはMAG (最大50cm)。有効期間はINT (最大1時間)。重さはSTR (自身除く)に依存する。

重複詠唱可能。浮遊中に時間切れを起こすと落下ダメージ (kg・m2)を受けるので注意』

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