08
リビングにお母さんとメイドちゃんず、マリちゃんと私が集合してます。
お父さんはお仕事でいないようだ。
マリちゃんはお母さん達に見えなくなる魔法を使っている為、マリちゃんを認証出来るのは私しかこの場にはいない。
妖精族は本来、人嫌いで滅多にお目にかかれないんだとか。
まぁ、私は特別だから。ドヤッ。
そんな私の1メートルほど先に4つの物が置いてます。
赤色の鞘は光沢があり、金属で複雑な模様がしてあってかなり格好いい。
白い羽根ペンは危ないからかペン先が丸い。
金硬貨は直径5cmほどで、知らないおっさんが模様として刻まれてる。
フォークは銀食器らしく、これも危ないからか普通のより先が丸い。
…マリちゃんのおすすめは羽根ペンらしい。
羽根ペンを指差して「これ!これ!」と口パクしてる。
別なの取ったら、どうなるんだろう。
あ、鞘を取ろうとしたら泣きそうな顔してる。
分かった、分かった。
「ウィーク様は羽根ペンですね、奥様」
私が羽根ペンをむんずと取ると、セラちゃんが微笑みを浮かべながらお母さんに話しかけた。
「シークエンス家は代々、魔術師や学者や教育者が多いわ…でも、ウィルの人生だもの、私達や家柄が決めることじゃない。将来、どんな仕事を選ぶとしても私達は応援するわ」
お母さんは私を抱き上げて、優しく頭を撫でる。
…私は、良い両親のもとに産まれてきたんだな。
「ところで、アリエル様はいつごろいらっしゃるのでしょう」
リオちゃんが時計を見ながら言う。
今は11時で、今日はお母さんの妹が来る予定だ。
ここ一ヶ月で数人の親戚にあったけど、お母さんの妹とはまだ会えてない。
「そろそろ来ると思うわ。お昼前に着くと今朝連絡が来たから」
お母さんも時計をちらっと見ると玄関に顔を向けたその時。
「おねぇさま~!お姉様のアリエルが来ましたわよ~!」
媚びた大きな声が外から聞こえる。
何だか厄介な人物のような気がするのは私だけだろうか…。