05
ズッ友確定の妖精さん、ずっと私の体をぺたぺた触っております。
性的じゃないというか、下心ない触り方で、まるで私の無事を確認するかのようだった。
それもそれで…。くふふ。
ところで…。
「あなえあ?」(名前は?)
友達なのに妖精さんっていうのも、おかしいからね。
名前があるなら、あだ名で呼ぶのも良いじゃない?
すると妖精さんは、私のお腹に座るとニコニコしながら答えた。
「マリーヌだよ!」
な、なんて可憐なお名前なのっ…!
今日から妖精さんはマリちゃんだね!
そういえば、昔の落書きに緑の子に「まりちゃん」って書いてたような?
自分かと思ってたけど、妖精さんのこと書いてたのかも。
気味悪がってた母も勘違いしてなきゃ捨てるだろうからね。
やっぱり、前世から知ってる子なのかな?
「うん、ついてきたの!」
ついてきたって、あーた。
まるでずっと見てたみたいな言い方じゃないの。
「みてたよ?」
え、ストーカーですか?
ストーキングしてたんですか?
「うーん、むずかしいことわかんないよぅ」
ほうか、ほうか。
ていうか、さらっと思考を読み取っていません?
「まりちゃんがつたえたいなーってことしかわからないよ!」
まぁ、マリちゃん可愛いから何でもいいか。
可愛いは正義。
ところで、何で私をストーカーしてたんですかね?
「あのね、」
マリちゃんの話を要約すると、私の前世の前世である、前々世?で友達で転生しても友達でいようと約束したらしい。
妖精には死がないから、そのまま地球で産まれた前世の私と友達になった。
けれど、魔法がなく、妖精なんてない世界だったが為に泣く泣く見守るだけだったと。
そして、前々世の産まれは今世である“オークリア”という世界。
この世界で私は大魔法使いだった、そしてその子孫に繋がる、という訳だった。
…壮大だな。所々疑問があるが、詳しいことはマリちゃんも分からないらしい。
あと、マリちゃんにお願いしたのだ。
ウィークと呼んでほしいと。
良ければ、愛称のウィルと。
「うぃる?」
くぎゅー!!
こんなに可愛い子がストーカーなわけがない!!
私は思わず抱き締めてしまった。
耳元で微かに「もう、離さないよ」と聞こえた気がするけど、気のせいでしょ!