04
前の話で魔法の話をしたと思うけど、攻撃魔法とかじゃないよ。
小さな灯りを指先に灯してお父さんが部屋に入ってきたり、お母さんの手のひらにポンッとマーガレットのような花を出してたり、メイドその1ちゃんが勝手に動き回る箒を操作してたり、メイドその2ちゃんがその1ちゃんに呼ばれた時に瞬間移動してたり…。
マジシャンじゃない限り、そんなこと出来るのは魔法くらいだろう。
いや、魔法だ。間違いない。
そうじゃないと泣くぞ。
子供らしくない、押し殺した泣きかただからな。
あ、そうそう、名前分かったよ!
私はウィークだった。
みんなウィークって呼んでるし、その度に「あう」って返事するとより笑顔になってくれる。
お父さんはリーグ、お母さんはウラティナ、メイドその1ちゃんはセラ、メイドその2ちゃんはリオだった。
もしかしたら、愛称で呼んでるかも。
他にも、簡単な言葉も分かるようになった。
「おはよう」「おやすみ」「ごはん」「可愛い」
みんなが繰り返し言うんだもの。
精神が大人だからと言っても、脳ミソが柔らかいから吸収するのが半端ない。
前世の赤ちゃんの頃は忘れたから比べようがないけど。
そんなハイスペックの産まれて一週間の私、悩みというか、ホラー体験?があります。
前世の頃に誰に見えない“お友達”がいました。
イマジナリーフレンドっていうんですかね。
いつの間にか居て、いつの間にか居なくなる、そんな“お友達“が。
目 の 前 に 。
なななななんで、君が!!?
私病んでるのかな!?
前世の記憶ではうっすらだったが、はっきり思い出したよ!?
15cmくらいの大きさで、髪は足元まである薄い黄緑色、目は濃い緑色。
白い肌に、薄いピンク色の唇。
好奇心旺盛な表情、光の加減か周りがキラキラして、ふわふわした白いドレス、七色に輝く薄い羽。
ん?も、もしかして、君は。
「おうあう?」(ようせい?)
歯が無いためか、舌足らずで聞きづらいであろう言葉に妖精(仮)さんは笑顔で頷き。
「そうだよ!まりちゃん久しぶりだね!」
く、くぎゅー!!
可愛い声ですなー!
私のぷにぷにの手でそっと妖精さんの頬っぺたを触ると「ふふ、くすぐったいよー」ところころ笑う。
可愛いー!!
子供の頃は分からなかったけど、こんな萌えを集大成させたような友達がいたんだ。
あぁ、涙が出てきた。
みんなに妖精さんのことを紹介しても、残念な子を見る目が怖くなって遊ばなくなったんだよね。
その頃は友達が居なくて、寂しかったから妖精さんが心の支えだった。
でも、そんな私が不憫だったのか、母がママ友の子供を紹介してくれて、その子が幼なじみになって、妖精さんはいつの間にか居なくなった。
私の側に居てくれたのに、声もかけてくれたのに。
私は無視して、居ないものとしてしまった。
けど、妖精さんはそんな私の側にまた来てくれたのだ。
キラキラと輝く笑顔で、声をかけてくれた。
そんな妖精さんがいじらしくて、私は胸が切なくなった。
これからは、ずっと友達だからね…!
ズッ友だよ…!