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恩返し、といっても何をするか考え付かなかった。
いろいろ考えてはみたが、金銭は幼児の内は無理だし、行動にしてもどうすれば良いのか…。
一応、両親の誕生日には歌をプレゼントしている。
この世界の有名な童謡だったり、日本の歌をオークリアの言語に変えて歌っている。
喜んでくれているが、前世の両親はそんなものより金銭や家電、旅行の方が喜んでいたから本当に喜んでくれているか分からない。
肩を揉むのも喜ぶ所か触らないでくれと言われたから、今の両親に肩を揉むのも気が引ける。
お手上げ。といことで、参謀のセラに美顔美容タイムに聞いてみた。
助けて、セラえもん。
「恩返し、ですか…」
「うん、セラは孤児院に物品寄付しているでしょ?何かあげるのも考え付かないんだ」
「物よりも会いに行く方が喜ばれますよ。院の子供と遊ぶのも勉強を教えるのも喜ばれますし、私が学園生の時はその時の話をしている時も自分のことのように喜んでいただけました」
話は毎日必ずしているし、幼稚園や友達の話もしている。
しかし、子供か…。
「僕に弟か妹がいれば…お願いしてみようかな」
恩返しする立場なのにお願いするとは、矛盾しているような。
まぁ、私も4歳で小柄とは言え手もかからなくなったし、問題はないだろう。
という訳で、次の日の朝に聞いてみた。
「お父さん、お母さん、ヤエットは実を結びに来ないのですか?」
ヤエットというのはリスのような動物のことで、番を一匹しか持たないのに子沢山で有名だ。
そして、「ヤエットが実を結びにくる」というのは俗に言う「赤ん坊はコウノトリのくちばしで運ばれてくる」と同じ意味をもつ。
「ヤエットは実を結びに来たじゃないか。ウィルがその証だ」
父が驚きながらもすぐに笑顔になる。
「ウィルは兄弟が欲しいのね?」
母が穏やかな表情を浮かべながら問うのを頷いて答える。
「うーん、ウィルがもう少し大きくなったらと思ったんだが…」
「私は今でも良いと思うわ。ウィルがこう言っているのだし、もう一人欲しいと話したでしょう?」
「…そうだな」
父が何やら考えながら頷く。
どうやら、私に兄弟が出来るようだ。
嬉しい。
弟や妹が前世から欲しかったのだ。
それから数ヶ月後、母の妊娠が判明した。
私が五歳となり、春になったある日のことである。
私、お兄ちゃん頑張ります!!




