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幼稚園に通いだして三ヶ月程経っただろうか。
私は中庭でメアリーゼと共に木陰にいる。
私は本を読み、メアリーゼは眠っている。
三ヶ月でライト君以外の子とはある程度仲良くなったが、あまり親しくない子と遊ぶのは好きではないので仲間外れという訳ではなく、悪い印象を残さない断り方をしているのだ。
儚げな美少年、それが彼らや彼女らの私の印象。
泣くのを耐えた顔で「からだが生まれつきよわくて、ほんとうは遊びたいんだけど…ごめんね…」と言えばイチコロである。
嘘はついてないよ。
そんな私であるが、本を読んでいる途中、怒鳴り声を聞き顔を上げる。
風魔法を使って聞くと、ライト君が1つ上の子に絡まれているようだ。
先生は気付いてないし、私の読書の妨げをするとはまじギルティーなので助けることにした。
「どうしたんですか?」
怒鳴っている子はライト君がガンを付けてきたと魔法で聞いていたが、仲裁のポーズというものだ。
「…こいつの目がおれをにらんでたんだよ」
お前2歳児だろ。
目合っただけで喧嘩するなんて、どこのチンピラだよ。
などと思っても、顔には出さずあくまで笑顔の私。
「そうおこらずに。彼とおなじクラスですが、いつもおなじ目ですよ?」
「けどよ…」
「見ればせんぱいのようですし、どうかおおめに見てはもらえませんか?ぼくから彼にいっておきますから。ね、せんぱい」
先輩風を吹かせたい年頃であろう時期の「先輩」発言に気を良くしたのか、にやにやと笑いながら「こ、こんかいだけだからな」と言って去っていく。
頭が良くない相手で良かった。
地球と違い、大人びていると言っても子供だな。
野次馬も居なくなって良かった。
さて、読書っと。
「…まって」
私が木陰に戻ろうとすると、ライト君が私を呼ぶ。
「ん?何?」
「あの、ありがとう」
彼は「助けて欲しいだなんて言ってない」タイプだと思ったので立ち去ろうとしたのだが、まさかお礼を言うとは。
「いいよ、気にしなくて。さいなんだったね」
メアリーゼがキョロキョロしてるし、戻らなくては。
あの子も無口な割に私に執着してるからなー。
いつの間にか隣に居るし、この間も朝起きると隣で寝てたし、今だって寝てたのに起きてるし。
などと考えていると、ライト君が後ろから着いてくる。
あー、友達になりたいのかな。




