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花が咲き乱れ、陽気が眠気を誘う季節となった。
今、私とメアリーゼは共に幼稚園の入園式に出席している。
私達を含めた15人が今年の入園児だ。
「君たちの入園を歓迎します」
睡魔に襲われそうになりながらも、聞き流した園長先生の長い話も終わったようだ。
ふと、横を見ればメアリーゼがこっくりこっくりと船を漕いでいた。
可愛らしい。幼女はぁはぁ。
式が終わり、幼稚園の説明の為に保育室へ向かう。
メアリーゼはまだ眠いようで、目を擦っている。
あぁ、そんなに擦ったら目が腫れてしまうよ。
「ほら、メリー。これで目をふいて」
ハンカチを渡し、ふらついている彼女と手を繋ぐ。
「…ウィル、まだお家かえれないの?」
メアリーゼは昼寝が好きな為、早く家で昼寝したいのだろう。
私は少し苦笑いし、後少しだからと言っているうちに保育室に到着した。
室内は広く、荷物入れの棚やおもちゃ箱、幼児用の椅子やパイプオルガンが置かれている。
「みなさ~ん、椅子に座ってくださいね~」
保母さんだろう優しげな顔をした女性が間延びした声をかけてくる。
皆、思い思いの椅子に座る。
勿論、メアリーゼの隣は私だ。
そこは譲れない。
座るのを確認した保母さんが自己紹介をして、幼稚園の説明をする。
この幼稚園は6歳になる5年通うこととなる。
王都でも特に、ここの地域は貴族や大商人などの地位が高い人が住んでいることが多く、子供を預ける他にも幼い頃から社会的繋がりを持つ意味がある。
交友や親睦という名の横の繋がりだ。
まぁ、子供にはそこまで期待はしてないだろうが、子供が仲良いし大人同士も仲良くしましょということも出来る。
それに商人はどんな些細な情報も商売に繋がるし、貴族はそれを利用することも出来る。
ちょっと汚いよね。
私の両親もコミュ障だったようで、無理に行かなくても良いと言われたが私が行きたいと申し出たのだ。
行かなければ『行けない理由』を陰で何を言われるか分からないし、この世界の普通の子供を見ておきたいというのもある。
クエト、シヤル、メアリーゼは普通じゃないからね。
双子は最近、私の前では格好良さを見せようとするし、メアリーゼは眠り姫だし。
と、先生はこんなことは言わず、遊具は順番を守ろうとか幼い子供とのお約束を言っていた。
「では、自己紹介をしましょうか~」
うわ、きたよ。
こういうの苦手なのに。




