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真っ暗な視界で、私はゆらゆらと揺れているような感覚があった。


『これじゃあ、明日の仕事は無理かも。ていうか、良い機会だし辞めて転職しようかな。今の同僚にはお世話になったけど、会社には愛がないからな』


言葉が発っせない今、こんなことを考えていた。

昔、友達にロマンチストと言われた私は、愛が中心で考えることがあった。

バイトをしていた時も、社会に出た時も、誰かの為に自分が動くことが好きだった。

お金はもちろん大切だし、贅沢をしたい時もある。

愛があれば何も要らない!などと、綺麗事を言うつもりもない。

それでも、どこかしらで人に必要とされたかった。

愛されたいし、愛したいのだ。

恥ずかしくて口には出さないが。

まぁ、これらの考えには昔の思い出が関係するのだけれど、余談なので割愛させていただく。


誰しもが幸せになりたいだろうし、私も幸せになりたい。

不幸になりたいという特殊なドMは知らないが。

物語はハッピーエンド主義だし、どんな人でも純真な心からの笑顔が素敵だと思う。

そんな笑顔が見たいが為に、自分で作る“食”の仕事を選んだ。

しかし、会社は私がやっている仕事や残業に対し「誰にでも出来る仕事だから」などと言ったのだ。

誰にでも出来る仕事だろうが、私はその言葉に愛を感じなかった。

私の変わりはいくらでもいるもの…か?

ふざけんな!残業代あいもないのにやってられるか!!

思い出すだけで腹がたつ…!!

サービスでどれだけ私の貴重な読書あいの時間が削られてると思っている!

やっぱり辞めてやるわ!お前らの会社はバッドエンドだぜ!わーはっはっはっ。


私が怒りに燃えていると、ふと何かしゃべっている声が聞こえた。

くぐもって聞こえるというか、周りもよく調べたら液体?

なにこれ?と動いているとくぐもって聞こえる声が激しくなってきた。

そして、頭を押し付けらる感覚がしたかと思うと頭がひやりとした。

うーん、例えるならお風呂から出た時の感覚かなぁ。


…え、何、お風呂?

は、誰よ、満身創痍な私をお風呂に入れたのは!?

あれ、でも空気もないのに平気だったし、私どうなってんの!?エラ呼吸出来たっけ?

などとパニックになっていると、私の外気に晒されてる頭を誰かが触った。

何、このでっかい手!

ていうか、目開かないんですけどー!?

てか、タオルで拭くならもう少し丁寧にお願いします!


パニックになって数時間が経った気がする。

疲れた…お家帰る…。

ちょっとぐったりしている私を誰かが叩く。

やだ、私叩かれて喜ぶ人間じゃないの。

どっちかっていうと、叩く方でお願いします。

…しつけーな!暴れんぞごらあ!

元柔道部員なめんなごらあ!!

一番得意な受け身見せてやるぞごらあ!!


と、私が暴れると全身が何かから出てきた。

よっしゃあ、いっちょ暴れたるでぇ!

と声を出そうとしても、言葉に出来ない。

別に誰とも見つめ合ってないのに。

ん?あれ、これ、泣き声?私?

も、もしや…。


柔らかい布に包まれると誰かが抱き上げ、移動しているような?

そして、移動するのが止まると、誰かが私をまた違う誰かに渡してる。

丁寧に。でも、しっかりと。

安心するような相手に私の声も止む。

うう、誰?顔見たい。

と、思っていると少しずつ目が開きはじめた。


「ーーー?」


そこには汗だくだが、美しい笑みを浮かべた女性がいた。




 

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