表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/57

01


その日、私は体調を崩していた。


「なんか吐き気と頭痛がする。悪寒もするし、手足も震える。風邪かな…」


仕事が休みで良かったと思った。

人員に余裕がない私の職場では、一人でも休むとそれはもう大忙しで、一人前どころか二人前と言っても良い位、私はまぁまぁ仕事が出来る方だ。

だからということでもないが、私が抜けると痛い訳だ。


あ、申し遅れました。

私の名前は天宮あまみや まりと申します。

年齢は24歳、身長は162cm、体重は林檎3個分です。

正真正銘の乙女であり、ちょっとオタクが入った今時の若者であります。

仕事は調理員で、栄養士の資格もあります。

最近の趣味というか、楽しみは携帯小説を読むこと。

ファンタジーや恋愛物、ホラーにコメディ、官能小説も少々。くふふ。


そんな私には、憧れていることがある。

美少年になること。

はまっている携帯小説が大抵、美少年に成長する異世界転生なのだ。

以前から男になりたいと思っていた私は、それらの小説に心を踊らせている。

むさい男ではなく、美しい少女のような少年になりたい。

むさい男ではなく、美しい少女に恋をしたい。

そして、狭い厨房ではなく、広く自分じゃ想像できないような世界を見たい。

まぁ、そんな憧れがあっても、トラックに轢かれる こともない。

それ以前に女であり、社会人だ。

これが現実で、親にそろそろ彼氏を作れと言われる。

既婚者の先輩には合コンや結婚相談所を薦めれ。

友達は結婚や出産の報告が…ぐぬぬ。

リア充爆発しろ。


ごほん。

話がそれてしまったが、私はそんな平凡で平和で、退屈な日々を過ごしていた。


「病院に行く時間だ…」


『年かな。体の丈夫さには自信があったし、まだ若いと思ってたけど』などと考えながら、病院に予約していた時間が迫ってきた為、自室から出て階段を降りようとしていた。


が、手足の震えから誤って足を踏み外した。


これで幼い頃から数えて落ちるのは3回目だった。

うちの階段は特に急でもないが、昔からぬけている私は落ちることがあった。

ちなみに、車にぶつかったのも3回あるため、トラックに轢かれても無事なような気がしていた。


頭を打ち付けながらも『明日も仕事だし、骨折とかまじ勘弁。打撲とかならまだ働けるけど』などと思った私は社畜の鏡である。

そして、階段下で全身からのあまりの痛さに気を失いかけていた。


「どうせなら階段じゃなくて異世界に落ちたい…」


そう言った私は真っ暗な視界に意識を飛ばしたのだった。



 



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ