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珍しい事

作者: 千鳥足


 「昨日ね、珍しい事があったの!」

友人の美代とたわいもない話をしていたら、そんな話題に切り替わった。

「へえ、何があったのさ?」

私はそれで『あっそ』とどうでもよさそうに返事をするほど嫌な奴ではない。聞いて欲しそうな顔をしていたので、聞いてあげた。

「あのねあのね、私が昨日塾の帰りでバスを待ってたんだけどね、うん、私以外誰も待ってなかったから空くかなぁくらいは思ってたんだけどね。時刻表となぜか大分ずれてたからかな、なんと私が乗った時バスに一人も乗ってなかったの!」

それを聞いて思わず私はずっこける。珍しい事ってそれかい!

でもまあ、マイナーなやつなら夜ならたまにそういうことあるよね。

「ふぅん、何バス何処行き?」

再び聞いた。しかし彼女の口から出たのはマイナーどころか、むしろ有名なバスの名前だった。

「HバスN行き」

「えっそれホント!?すごいねそれ!」

HバスのN行きとは、いつも座れるどころか、乗るか乗れるかわからないくらい混雑したバス。『がらがら』という言葉に最もかけ離れ、『混雑』という言葉の枕詞とも言えるバスなのだ。

つまりは、すっごく珍しい。そりゃすごいや、そう思った。

ふぅん、そんなこともあるんだね。

美代はにこにこしながら続ける。

「それでねそれでね、それで、せっかく空いてたんだから、普段は座れないようないい席に座れたの!」

「へぇ、どこ?一番前?一人席の三番目?あっもしかして優先席?お主も悪じゃのう……」

「うん、一番前だよ。いっつも座られてるからね。前がよく見えて、面白かったの!」

「へぇ、そうなのかぁ。でも一番前ってよく運転手さんのコートとか前にかけられてて、意外と見えなかったりするんだよねぇ」

しかし、それを言うと彼女はぽかんとした顔になってしまった。

そして、「冗談キツイよ」、と美代は笑い、言う。

「まーちゃんったら。そんなことしたら、大事故起こしちゃうじゃん!」

しかし私はその言葉の意味がわからなかった。

ホラーってやっぱり理解した時が一番面白いと思うんですよ。

だから、あえて読者様が「どういう状況か」を理解するような作品を書きました。ホラーというほど怖くありませんが、ちょっぴりゾクッとしていただければ幸いです

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