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見知らぬ部屋

作者: 桜花姫

 聞き覚えのないアラームが俺を眠りから覚ます。

 どうやら俺はまだ夢の中にいるらしい。開けたはずの目に映る景色は、少し黄ばんだ白い壁紙、キャラクター物の壁掛け時計、学習机に並ぶフィギュア、そのどれを取っても俺の記憶にない姿形を見せている。

 布団を押しのけ、「あと5分」と駄々をこねている身体を起こす。視点を変えてみたものの、やはりここは俺の知らない部屋だ。

 一通り見渡した後、頬をつねってみた。

 痛い……。頬をつねると痛いということは分かった。だが、果たしてこれは本当に夢と現を分ける基準としての役割をもっているのだろうか。

 部屋には窓と扉が各1つ。日が差し込んでいることから窓は南向き、もしくは東向きであることが想像できた。俺の部屋の窓は陽射しの届かない北向きであり、ここが俺の部屋ではないことは間違いなさそうだ。

 不安に駆られながらも扉へと歩み寄る。木製の引き戸、これといった装飾もないありふれた扉を開けると、目の前には下りの階段、左には3メートルほどの廊下の先に今開けた物と同じ作りの扉があった。やはりどれ一つとして見覚えがない。

 よし、寝よう。寝てる間に夢も覚めるさ、などと意味不明な考えにいたり、部屋に戻り布団に潜り込む。枕が変わると眠れない人もいるらしいが、俺に関して言えばその心配はない。横になると途端に瞼が重くなってくる――。


 聞き覚えのあるアラームで目が覚める。

 ようやく夢から覚めたようだ。それにしても不思議な夢だった。

 ふと部屋を見渡す。そのどれもに見覚えがあり、言い知れぬ安心感を覚える。

 窓を開け、優しく降り注ぐ朝日を浴びながら大きく深呼吸をする。

 さて、今日も1日頑張ろう。


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