キノコの恐ろしさを知らずに育ちたい
キノコの恐ろしさを知らずに育ちたい
キノコの恐ろしさを知らずに生きていきたい
キノコの恐ろしさを知らないまま人生を終わりたい
キノコはかわいくて美味しくて
ほっこりするようなものだとずっと思っていたい
キノコはか弱くて逞しくて
笑顔にしてくれるものだとずっと信じていたい
キノコがほんとうは恐ろしいものだなんて
キノコが何を考えているかなんて
一生知らなくていい
キノコの山は食べざかりだって
そこに踏み込んだらチョコの香りに包まれるんだって
無邪気に思っていたい
山に踏み込んだあたしの足が
崖を滑ってぬかるんだ斜面を落ちていっても
笑ったまま青いお空を見ていられたら
きっといつまでもあたしは幸せなつもりでいられる
知ってるキノコ
親しいキノコ
その名前ばかり歌にして
空に響かせられたらいいな
エノキダケさん
シイタケさん
ぶなしめじさん
舞茸さん
ヒラタケさん
エリンギちゃん
マッシュルームにトリュフくん
えーと
えーとそれから
ベニテングダケさん
ワライダケさん
えーとえーと
えーとえーと……
あいつの名前だけは言ってたまるか
キノコが増える
その前に
なんとかしないと
世界は滅ぶんだって
増殖するキノコなんて
世界を埋め尽くすキノコなんて
知らずに終わりたい
そんなものを知るくらいなら
今すぐここから飛んでやる
えい!