表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢と道連れ転生  作者: ドクトルゴトー
0章 憑依と処刑
3/45

説明①

『やはり、ハルはこの世界の人間では無かったのね。尤も肉体は無いのだから果たして人間と言って良い状態なのかは分からないけれど。リス王国、それから女神の存在さえも知らなかったから、もしかしたらとは思っていたのよ』


 どうやら女神が実在していることはこの世界では常識らしい。意味不明だからこそ、知ってみたいと思うのも当然のことだろう。いっちょ聞いてみますか。


『ここはどういった世界なのでしょうか?』


『あなたね、その質問は漠然としてて自分でもどうかと思わなくて? 確かに先ほどはあなたの質問に答えると言ったけれど、仮にあなたが自分の世界について同じ質問をされたらどう答えるのよ?』


 うん? 仮に僕が同じ質問をされたのならば……具体的に何を聞きたいか分からないから答えようが無い。「世界って何?」なんて質問をされても、僕には答えられない。


『そうでしょう? だからまずハルの世界の事を教えて頂戴。場当たり的に何かを想像するだけで良いの。さっきもやって見せたけど、私があなたの思考と記憶を読み取って、この世界と比較して説明しましょう』


 確かに思考を読まれてたな。僕にはそんなこと出来ないんだけど、ルナ様はどうやっているんだろう? 取りあえずは彼女の言う通りにしておこう。僕がいた世界ね……。


 何となく思いつくものと言えば、彼女が起きて最初に目に入ったものが牢屋だ。見た感じは鉄製、ただ僕のいた世界のものと比較すると少々質が悪いように見受けられるが……じゃあ、技術の比較から始めよう。例えば移動手段。自動車や飛行機、船といったものか。それらを動かすエネルギー源があったな石油や原子力、太陽光なんかもそうか。こちらと向こうではエネルギー事情が完全に違うかもしれない。


『技術体系に関してはあなたたちのほうが間違いなく上みたい。例えば私の国では主だった移動手段は馬車になるわ、あなたの世界にあった自動車を始めとした乗り物には遠く及ばないわね』


 こちらの方が遅れているらしい。馬車と言うとこちらは元の世界ではいつの時代まで主流だっただろうか? 自動車が大体十九世紀頃に出現したと考えると、少なくともこの世界の技術はそれより以前の水準という事になる。だが、単純な比較は出来ないだろうな。


『そうね、単純な比較が出来ないと言うのは私も同意するところよ、こちらの世界には貴方達の世界には無い魔力と言う力が存在しているのだから。魔力は生物ならば必ず有しているものなの。人は魔力を使って火を起こしたり、水を作ったりすることも出来るわ』


 成程。恐らく魔力が有用過ぎるのだろう。だからこそ、元の世界と比較した時に、技術が発展していないと思ってしまうのだ。しかし、ここは異世界と言うばかりか魔法の世界でもあったわけだ。


『私たちは魔術と呼んでいるの。けれど、あなたの想像しているようなもので大差ないわね。ついでにエネルギー源について言及しておきましょう。この世界には魔獣と言う生き物がいて、彼らの体内からは魔石と呼ばれるものを採ることが出来るのよ。魔石は魔獣たちの魔力が固まったものとされていて、様々な用途があるの。これがあなた達で言うところエネルギー源ね』


 やはりと言うか、この世界において魔力は重要な役割を果たしているらしい。それにしても、魔石を利用か、一体どんな風に使われているのだろう?


『こちらの世界には魔力と魔石で動くように設計されている道具が存在するのよ。先ほど挙げた馬車なんかもその類のものが存在しているわね』


 なるほど、魔力なんてものがあるのなら、そんな風に使うのか。


『ええ。もっとも、それほど数が多いというわけでは無いのだけれど。魔力で動かすことの出来るそれらの道具は魔道具と呼ばれているの。多くは生活に密着した者であることが多いわね』


『例えば?』


『魔石を嵌めると水を生み出したりなんかね。先ほど魔術で水を生み出せるとは言ったけれど、魔力の多さと使える魔術の種類には個人差があるのよ。だから個人の魔力に依存することなく、魔石を使えば魔術を使ってくれる魔道具は重宝されているわ』


 ふーむ、なるほど。そりゃ確かに人によってはかなり便利だろうな。


 だが、その魔道具の技術なんてのも最初に作られた時には恐らく各国がこぞってその情報を欲しがっただろうな。最悪戦争ものだ。


『起きていてもおかしくはないでしょうね。何分昔のことで記録に残っていないものも多いけれど』


『やっぱりこの世界にも争いがあるんですか?』


 僕が元の世界の戦争の歴史なんかを思い出しながら、彼女に聞く。そうすると、


『ええ、勿論。どの世界でも争いが無くなるなんてことはないでしょう。私の知る限りであれば、国家間の戦争が起きる理由は土地を欲してのことが多いわ。食糧が豊富にとれる肥沃な土地。但し、それはこの大陸に存在している国家間の話だけれど』


と答えてくれた。だが、今の言い方だと同じ大陸に存在している国家としか戦わない感じに聞こえるのだが? まあ、相手が近くの国と言うのはおかしくないのだが。


『いえ、他の大陸と戦争したことも歴史を振り返れば無いわけではないの。但し、滅多なことでは起きていないわね。物理的な距離が遠いと言うこともあって、攻める方がどうしても不利になるのは分かり切っているから、普通は戦争したりしないわ』


『そうでしょうね』


 多分魔術があるからと言ってどうにかなる問題でもないのだろう。科学技術の発展していないこの世界では結構制約もありそうだし。


 でも、武器なんかは面白いのがありそうだ。魔道具なんてものがあるんだから、そっち方面から武器に技術を流用すれば、何かしら変なものが生まれてそうだ。


 だが、僕の期待とは裏腹にルナ様から『期待に沿えなくて申し訳ないけれど、大したものはないわよ?』と無常な返答がなされる。これに対して『えっ、何で?』と返さざるを得なかった。どうして魔道具なんてものがあるのに、魔武器のような代物は無いのだろう?


『そう言われても、剣や槍で十分だと思っているのではないかしら? 魔術も併用して攻撃することになるのだから。それに魔道具って結構開発が難しいのよ。先ほど話した水を生み出す魔道具も数百年は使われてるって話だから』


 そう言うことならば納得せざるを得ない。魔道具の構造なんて僕にはさっぱり想像もつかないからな。それは、この世界の人達であっても同様という事だろう。それにしても数百年魔道具って変わってないとは……冷静に考えるとすごいな。


『ええ、私もそう思うわ』


 じゃあ他の話題にでも移るとしましょうか。何が良いかな? そうだ言語について聞こう。


『言語ね、そう聞かれて実に興味深いと思ったのだけれど、私たちの世界は言語はどこであろうと共通よ? 他人と会話もしたことが無いというわけでもない限り、会話が通じない人はいないと思うわ。些細な違いを挙げるとすれば、土地によってイントネーションが僅かながら変化するとかそんな程度、間違っても通じなくなるほどの変化なんて無いわ。私からすると、どうしてハルの世界では言語が異なっているのか不思議でたまらないのだけれど』


 いや、それは明らかにこっちの世界がおかしいだけでしょ? 住む地域がバラバラなら言語だって変わっていくのが当然のことだ。日本の中でさえ方言と言う形で微妙に変化していたのだから。それなのに、この世界は言語が統一されていると来た。なんなんだ、この世界。バベルの塔が崩壊する前の世界なのかも知れない。


『いえ、言語が複数ある方がおかしいわよ? ああ、でも文字の方は時代によって変化しているわね。古代文字と言うのだけれど、貴族の教養とされているの。ただ、時代をさかのぼればそれだけ種類も多くなるから、精々がこの千年くらいの変遷を知っていれば良いと言われているけれど』


 話す言葉は変わらんのに文字は変わるのか……。いやマジでおかしい。しかし、そうなってくると、最長ではどれくらいさかのぼれるのかは結構気になるな。今の話し方からすれば千年で打ち止めってわけでも無いんだろうし。


『分からないわ』


 随分と端的だ。まあそれも仕方のないことか。僕だって平安時代の字を読めるなんて聞かれたところで読める筈もないんだから。いつまでもぐだぐだ言ってても仕方が無いので次の話題に移るとしよう。


 他に何か思いつくもの……身分制について聞いてみるか。ルナ様は伯爵家って言ってた。僕が暮らしていた現代日本には実に馴染みのない制度故に分からなかったが、過去を振り返れば存在はしていたな。それに、今も爵位がある国は存在していた筈だ。


 そう考えていたところで、ルナ様が『とても興味深いわね』と話しかけて来たので『どこがでしょう?』と聞き返すと、理由を語り始めた。


『革命なんて起きたのでしょう? こちらの王家もそんなことが起きれば堪らないでしょうね。ただ、そんなことが起きるとは考えづらいのだけれど』


 興味深いという割には、直ぐに革命が起こる可能性は否定してきた。僕としては結構可能性あると思ってたのだが、それはまたどうしてだろう?


『先ほど魔力量と使える魔術の数には個人差があると言ったことは憶えていて?』


『はい』


 魔道具の話の時に聞いたばかりだから、忘れるには少々早い。


『ならば続けるわね。多くの魔力を保有していて、様々な種類の魔術を使える者は王族や貴族たちに偏るのよ。貴族たちの中でも、王族と他の貴族であれば前者の方が優れているわね。だから、王の権力がさらに強化されることは考えられるけれど、革命の時代が来るのは想像し難いの。考えられるとすれば、王が余りにも強権的な施策を取りで有力貴族の大半が王に反発した場合なんかかしら。平民を中心として動いて、有力貴族たちを取り込んでいかなくてはならないわね』


 この世界の平民と呼ばれる人たちが、どれほどの力を持っているのか知らないが、その立ち回りを求めるのは酷という事くらい、容易に想像がつく。


『ええ、だから難しいと言っているのよ。そもそも王も有力貴族の大半に反目されるなんて下手を打つものが少ないわね。そんな奴が存在するとすれば、そいつは世紀の愚王と呼ばれるわ』


 でも愚王なんてどこにでもいそうだからな。そんな風に考えるとあってもおかしくは無い気がしてきた。まあ物事に絶対はないから、可能性はあるくらいに考えておこう。


『ええ、その認識が一番良いとは思うわね』


 ここまで思いつくままに聞いてきたが、やはり元の世界と大きく異っている部分として魔力関係を挙げないわけには行かないだろう。


 他に異なっている点と言えば魔獣だろうか。こちらも元の世界には存在してなかった奴らだ。恐らく魔力という何かがあるが故に生まれた存在と考えられるのだが、どこに存在してるのかも気になるところだろうか?


『さっきは説明を省いたけれど、日常生活の中での危険として魔獣は存在するわよ。詳しい生態は明らかになっていないけれど、人間を襲うことは確か』


 それ結構恐ろしいな。日常的の中で危険が存在するってのが、僕には想像し難いんだけど。


『一応、防衛機構を作って魔物の侵入を防いで安全を確保しているところは少なく無いの。そう言う場所を城郭都市、または普通に都市と呼んでいるわね。ただ都市に住むにも住民としての権利を必要とするのよ。権利を有しているのは、基本的にはその都市の中で生まれた者ね』


 大方、城壁の大きさにも限度があるからという事だろう。


『ええ、その通りよ。頼って来た者全員を住まわせたいと思っている統治者も少なくない筈だけれど、こればかりは限度があるわ。だからその中に住めない者たちは周辺にでも集落を作っている筈よ』


 世知辛い。だがそんな状況で農作物なんて育てることが可能なのか? 魔獣がどれくらいの強さなのかは分からないが、荒らされては一たまりもないと思うのだが……。


『魔獣が襲うのは基本的には動物だけよ。農作物と言った物には影響は無いわね。ただそれを作っている者は襲われるのだから、気を付ける必要があることに変わりはないけれど』


 成程、魔獣は肉食と言う事らしい。


『魔獣で分かっていることといったらダンジョンもあったわね。これは各地に存在しているのだけれど、魔獣が大量に潜んでいることでも知られているの』


 ダンジョンなんてものまで存在するのか。魔力と合わせるともうファンタジーの香りしか感じないのだが、れっきとした現実なんだもんな。


『分かってくれているようで何よりよ。こちらとしても自分の生きている世界をファンタジーなんて言葉で片付けられてはたまらないわ』


 中々のファンタジー具合だけどな、これ以上言うと怒られそうなので言わないでいるが。


『言い忘れていたわ、いくつかのダンジョンからは魔獣の大量発生があって都市に甚大な被害をもたらすスタンピードという現象も知られているわね。尤も、有名でも実際に起こったのは時代を遡る必要があるけれど』


 いくら昔のこととは言え、魔獣が大量なんて恐ろしすぎる。こんな世界で生きていくのは無理な気がしてきたんだが? あれ? 僕ここで生きていかないといけないのかな。自分の体ないけど、その場合どうすれば良いのだろうか? ルナ様に取り憑いたままで、意識だけの存在として生きていくのだろうか? とりあえず話が一段落してから考えよう。


 そういえばさっきから彼女と僕の使用言語は異なる筈なのにルナ様と会話が成立している。こちらの言語は共通しているのは知っているが、その法則は違う世界出身の僕には当てはまらないはずだ。どうして意思疎通出来ているのだろうか?


『念話という魔術が存在するの。会話している感じでは、それに似ているわね。この系統の魔術は言葉を介さずに意思疎通をすることが可能だと考えられているわ。理論上は魔獣とも意思疎通が可能という事よ。何が起こるのか分からなくて危険だから、知っている限りでは試したことのある者はいないけれど』


 魔獣を見たことがある訳ではないのだが、少なからず危険な存在という事だけは確かだ。会話しようと思う奴なんていないでしょうよ。でも、看守の話していた言葉も理解出来ていた。あれは念話でも何でもなかった筈だ。そちらに関しての説明を要求したいな。


『そちらはまた別口だと思うわ。推測にしかならないけれど、私に取り憑いている事で、無意識のうちに記憶にアクセスする事で言語も理解出来ようになっているのよ。視覚や聴覚なんかも共有しているでしょう? それと同じね』


 成程。確かにそれならば話が通じるのも頷けると言うもの。


 しかし、僕が納得しているのとは裏腹にルナ様は『けれど肝心なのは、むしろそこからでしょうね』と告げてくる。彼女の方が疑問を持っているらしい。『何がですか?』と問うと、彼女は返答してくれる。


『今の状態は憑依魔術にも似ているのよ。他人を操ることを始めとして様々な用途がある魔術ね』


 念話同様、僕らの置かれているこの状況を再現するような魔術があるらしい。しかしなぁ……。


『ハルは自分がそんなことやった覚えがないと言いたいのでしょう? 私も疑問に思っているのよ。貴方の世界には魔術も魔力も存在しないことは知っているのだもの』


 だから、どうしてこんな状況になっているのか分からない。


『憑依として考えてもおかしいの。だって取り憑かれている筈の私が、取り憑いているハルに干渉できるなんて本来は有り得ないのだから。通常は憑依する側の一方通行なのよ。この魔術を使用する目的は相手を操ることの他に、記憶を覗くと言うものなの。それなのに相手から干渉させるわけには行かないでしょう?』


 まぁ、確かに。しかし、改めて聞くと結構怖い魔術だ。少なくとも僕はそんな魔術受けたくない。


『私もハルの意見には同意するわ。でも使い方によっては、とても便利で有用なのも確かなの。例えば犯罪を犯した者を取り調べる際には大いに役立つわね。何をやったのか直ぐに分かるのだから』


 そうだよな。これに関してはあちらの世界でも十分に活躍すると思われる。


『確かに万能には思えるわね。けれど、この魔術を使える相手には条件があるのよ』


 ルナ様が先を続けようとしたので、『ちょっと待って。答えを考えて見るから』と言って、一度待ってもらう。流石に教えて貰ってばかりと言うのも、頭働かないからな。自分で考えてみたい。ルナ様は僕の突然の我がままにも『ええ、良いわよ』と返事をしてくれた。


 恐らく今までの会話の中にヒントはあると考えられる。それも魔術関係だ。そうなれば必然的に思い出されるのは、魔力量と要素。恐らくではあるが、自分よりも魔力量の多い相手に対しては憑依出来ないとか、そう言ったことではないだろうか?


『正解。自分の魔力が相手よりも多いことが理想とされているわね。さらに言えば、王族や貴族たちは幼いころから憑依魔術に抗うための訓練を施されるわ』


 当然だろうさ。貴族の子弟が操られでもしたら、色んな所に悪影響がでそうだもん。


『そう言う事ね。私が取り憑いている筈のあなたよりも順応が早く、それ故思考を読めているのも、抗う訓練をした結果なのだと考えられるわね』


 僕に至っては魔術なんて使ったことも無いのだから、余計に差が出る筈。魔術慣れしているかどうかの違いが顕著に出ているのだろう。


『でも、これは実際の憑依魔術じゃないんでしょう?』


 似ていると言うこともルナ様がこの状況に順応している理由も分かったのだが、結局のところ憑依魔術を使っていると言うことにはならないのだ。


『ええ、そうよ。これが憑依魔術であると言う可能性は無いわね。素人に使えるほど簡単な魔術ではないし、今の私は魔力を受け付けなくなっているから、最初からハルが魔術を使っている可能性は消していたわ』


 全面的に同意してくれたのは良いが……。


『魔力を受けつけないってどういうこと?』


 僕がそう聞くと、ルナ様は『見える?』と言って自分の視界に両の腕を映す。彼女の腕に嵌められていたのは枷。確かに牢の中に居るのだから、枷が掛けられていてもおかしくないのだが……これが魔力を受け付けない原因という事だろうか?


『正解。これはね魔力封じの石枷と言って掛けられた者の魔力を封じる物なの。他者からの魔力による干渉も受け付けなくなるわ。だから、どうやっても憑依魔術は使えないの』


 某海賊漫画でそんな手錠を見たことがあるな。まさか、こんなところで拝見できるとは。しかしそんなもの使ったら折角便利な憑依魔術が使えなくなるではないか。罪人である以上ルナ様にも行使すべきでは?


『ハル、貴方お仕置き(お祓い)されたいの?』


 断じて違うが? 


『抵抗訓練をしていると言ったでしょう? 仮にこの枷を外したとしても、上位貴族の私に対して憑依魔術をかけられる人間は存在しないわ。自慢のように聞こえるかもしれないけれど、貴族の中でも魔力量は図抜けていたのだから。王でもない限り私への憑依を確実に成功させられる者はいないわ』


 王様に罪人の取り調べなんてさせるわけにもいかないしね。


『そういう事よ。だから下手に憑依なんてするより、このまま枷をかけて大人しくさせておくのが誰にとっても良いことなの』


 一番平和な方法だろうな。


『そうなるわね。 それにこうして話をしたことでハルの困惑も収まったのではなくって?』


 言われてみれば。この世界のことも何となく知ることが出来たし、ルナ様に感謝だ。


『ならば、この世界についてさらに詳しく説明したいのだけど良いかしら? ハルだって決して無関係とは言えないでしょう?』


 それは確かに。ルナ様に取り憑いているのがいつまでになるかは分からないが、この世界に居続けることだけは確かだ。なので、彼女の提案に対し『よろしくお願いします』と返答した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ