028/100 蘇生の間
どきどき!!!
今は当たり前だけど外壁街第七番区の家には住んでいない。
城内に用意された居住スペースに住んでいて、リビングダイニングは勝手に仮設政府の会議室となってしまっている。
寝室はあるんだけど……とても大きな天蓋付きベッド——なんだか使いにくくて、いつも書斎のソファーで寝ている。
そしてここは蘇生の間、——クロフォードさんの時みたいに雑念が入らない様に窓もなく天井も床も壁も真っ白な造りになっていて、神様と出会ったあの場所に少し似ている。
ちなみにこの部屋が完成してからは蘇生の失敗はしていない……
ベア、えっとベ、ベアトリスさんでいいのかな?
ベアトリスさんの写真は書斎の机に写真立てに入れて飾ってある。毎日見ていたから顔はしっかり覚えている。
蘇生の仕事も二日間休ませてもらったから体調も万全だ。
「シャルル、準備はいいかい?」
「あたしはいつでも大丈夫ですよ! ご主人様!!」
目を閉じ集中し、呼吸を整える。
もう百回以上蘇生していることもあり自然と息が合う。
「白薔薇の天剣!ベアトリス・アインス・イヴァーリスを蘇生する!!」
「「再構築!同族蘇生!!!」」
——!?
いつもなら床に魔法陣が出現するはずなのに……部屋には僕とシャルルの詠唱だけが響いた。
やっぱり僕のランクが低いから蘇生が発動しなかったのか?——でもクロフォードさんの時とランク差は同じはず、Bランクの蘇生は難易度が高いって事なのかな。
「シャルル、これは一体?」
「えっと、同族蘇生の力は一度発動すればどんな人でも蘇生します。高ランクの相手でも必ず蘇生し、ご主人様の生命力を奪います。ですが——今回は力が発動していません。」
シャルルは珍しく険しい顔で考え込んでいる。
「考えられる原因が二つありますわ、ご主人様。まず一つ目は対象者が生きていると蘇生は出来ません。ただ……ご主人様が人最後の一人となった事で神様が恩恵を与えていたのでそれは考えにくいです。——ごめんなさい。」
「大丈夫だよ、シャルルが謝らなくても。それで、もう一つの原因を教えてくれるかい?」
少し期待してしまったけど、蘇生を成功させれば大丈夫だ。
「もう一つの原因は、対象の、そのベアトリスさんの魂か体——もしくはその両方がさらに強い力によって囚われている可能性です」
「さらに強い力って、神様の恩恵より強い力があるってこと!?」
再構築の恩恵の力はSSって前にシャルルが言ってたけど……
「いえ、恩恵で得られる力はSSが最高です。それ以上に強い力を持つ者はこの世界に二人しかいません。それはあたしの主である主神様と——」
シャルルは言葉にするのを躊躇っている。
「魔神——。すべての魔族の生みの親である魔神は、地下深くに封印されていてこの世界に直接は干渉できないはずなんですが……」
僕の知る限りの魔族の情報は、今は二人となった魔王を頂点に魔将達が魔族や魔物の軍団を率いる。魔神なんて聞いた事がない。
ガチャ——
「あれ、ちょっと前に詠唱が聞こえたから、頃合いかなと思って来たんだけど……まだだったかな?」
クロフォードさんが蘇生の間に入ってきた。ベアトリスさんは実の姉だ。とても会いたかったに違いない。
「すみません、クロフォードさん。蘇生、出来ないみたいなんです」
僕とシャルルはこれまでの経緯を話した——
「なるほどねー魔神か。なんとも厄介な話だけれど、おおよそ見当はつくよ」
「本当ですか!? クロフォードさん!」
「王都を占領していた僕の弟だった魔族を覚えているかい?」
「えっと、確かティルって言ってましたよね」
それにしても王族だったら僕も知ってるはずなんだけどな……どうして知らなかったんだろう。
「そう、ティルは子供の頃に王都から姿を消したんだ。魔族に捕まったのか、自ら魔族となったのかは定かではないんだけど、次に会った時は戦場だった——」
次回くろちゃんの回想シーンなり 回想は初w




