表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/31

027/100 西の砦跡

ところかわしまして。

 ——王都奪還より数日後のとある西の砦跡。


 私の横に立つ女に私達の恩恵について説明した。

 弟の力は強化で対象のランクを一時的に上昇させる。それ以上の事は解らない。


 そして私の能力は再生(リジェネレート)、自らの傷を回復する力で体の半分以上を失っても再生出来るため不死に近い。


「にしても……坊やに比べると姉弟揃って二流の恩恵よのう。それでファリスよ、貴様は誰の使徒なのかしら?」


 あの火玉が魔族に直撃する寸前、森の精霊魔法【決して燃えぬ木の根(ネバーバーンズルート)】の力で私は炎から守られたのだ。このイデアによって。


「私の主は女神シヴァルタよ。今回のゲームで主は人の生き残りに賭けた。だからアルト君の護衛の任務についていたのよ」


 今、イデアと敵対するわけにはいかない——私はゲームについて知る限りの情報を提供した。神々が互いの命を賭けている事やそれによって使徒が下界に数名派遣されている事など。


「あの爺が何か企むとは思えん——という事はやはりエイドスか。魔族に手を貸すとは……エルフの恥さらしめが」


 エイドスはイデアの兄で二人は数百年前に魔王を打ち倒したエルフの兄妹。魔王討伐後、何かに取り憑かれたかの如く力を求める様になったエイドスはエルフ族の掟を破り神々の塔に挑戦し神となったと聞く。


「エルフ族の不始末は坊やや新都には関係ない。私達で片付けるしかあるまい。

ところでキュリオスの説得は難しいのか? 貴様の弟であろう?」


「キュリオスは恩恵の代償によって私の事を覚えていなかったわ、説得は無理ね」


「はっはっはっ、なんと愚かな姉弟なのだ。姉のエルフの呪いを解く力を得るために塔に挑戦したと言うのに。その大切な姉の事を忘れてしまうとはな」


 エルフは長い寿命を持つ割に種族全体としての数は常に少ない。その原因は優秀な個体のみで世代を繋ぐために魂に組み込まれた死の因子。能力の低いエルフはその因子によって体を蝕まれ死を迎える。それがエルフの呪いの正体。


 私はエルフの中では相当な落ちこぼれでランクも低い。再生の力で常に体を回復させ続けなければ生き続けられない。


 キュリオスの能力はきっと私を助けようとしてくれて発現した力……それを戦争の道具として使うなんて、神だとしても許せない。


「仕方あるまいな、ここで魔王軍の迎え撃つ。同族の不始末だ……互いに不憫な兄弟を持ったものだな」


 イデアはエルフの精鋭で構成されたアルーヴ部隊を率いてこの砦跡まで来ている。私達だけでも数ヶ月程度は新都への魔王軍の侵略を防げるかもしれない。


「さて、早速お出ましのようだ」


 ざっと見てもゴブリンが百体、ホブやロードの大型が二十体。初陣からこの数を送り込んでくるなんて——魔王軍も本気みたいね。


 私は主の命に従い、アルト君を守る——


「ここは絶対に通さないわ!」




 





 ——王都奪還から半年の間ずっと悩んでる事があった。


 シャルルからは「Eランクに昇格するまでは絶対に禁止ですからね!」と強く念を押されてるけど、新都の復興も順調に進んでいる。


 今なら自分のためにこの力を使ってもいいんじゃないだろうか。


 そう——


 ベアトリス・アインス・イヴァーリスの蘇生。


 クロフォードさんを蘇らせた時はGランクでCランクの蘇生。

 今回はFランクでBランクの蘇生となる。力の使い方への理解は進んでいるからあの時みたいに数日間寝たきりになるような事はないはず。


 それでも……記憶のない僕はその人と何を話せばいいんだろう。


 その人には僕の記憶は残っているんだろうか。


 シャルル曰く神様に恩恵を返さない限り僕の記憶が戻る事は絶対にないそうだ。 

 但しその場合、恩恵の力で蘇ったすべての者達が消えてしまうらしい……自分の記憶のためだけにそんな決断は出来ない。


 共に過ごす中で何か思い出す事もないらしく、代償の重さを思い知らされた。


 それでもあの写真に映るその人を一度でいいからこの目で見てみたい——あれほど楽しそうに過ごしてたんだ。きっと初めましてから始めてもまた同じ様になれるはず!


「ご主人様ー? 考えてる事ばればれですからねー! 確かに力の使い方がうまくなった今のご主人様なら数日寝たきりにはなりますけど、死ぬ事はないと思いますわ」


 シャルルが新しく発行を目論むアルトコイン白金貨の刻印ポージングを鏡の前であれこれしながら釘をさしてきた。

 

 ぎくっ、数日寝たきりにはなるのね……


「でもこの半年、新都の民のため一生懸命だったご主人様をあたしは見て来ました。なので白金貨の発行を条件に特別に許可しましょう!!」


「やった!」

 思わず声が漏れた。


 ただそういう言い方されると素直に喜べないな……


 でも僕は遂に会う事が出来る。


 大切だった人に。


 これから大切にしようと思う人に。


ついにベア姉復活なのかー!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ