024/100 玉座の間
まさかそうなっちまうのかー!!!!
——玉座の間へ向かう途中、城内は先ほどとは打って変わり静まりかえっていた。
それにしても大変な事に巻き込まれてしまった…
早く終わらせてサクとハナちゃんの所へ戻らないと。
「アルトっち。代わりの護衛のホビット達とは仲良く出来たかい?」
「それが、湿地帯でナーガ・ラミアと遭遇してしまって…」
「はて、湿地帯は通ってきたけどそんな凶悪な魔物はいませんでしたよ。
あったのはナーガの死体が二つ。
それとその肉を美味しそうに焼いて食べていた二人のホビットですね」
「サクとハナちゃんは無事なんですね!」
「もちろん、問題なく後方部隊に合流して治療を受けているはずですよ」
本当によかった!
それにしてもナーガ・ラミアじゃなくてナーガの死体、それも二体?
まさか…
森のゴブリンロードやこの一件にもキュリオスって子が関わっているのか?
僕達との交戦時に恩恵を発動させた事で、ナーガ・ラミアの強化が解かれた。
いや、そういうルールがあの恩恵にあるかは推測の域を出ない…
ファリスさん怪我は回復してたみたいだけど…
ここには合流していない。
まだ戦っているのだろうか…
相手の能力が未知数なだけに心配だ。
「痛ったぁー!!!」
僕は後ろから思いっきり肩を叩かれ前に数歩よろけた。
「おいそんなしけた面してんじゃねえぞ! 小僧よ!!
お前ら人族のために俺たちゃ戦ってるようなもんだぜ!?
もっと喜びやがれ!」
そう言って元気付けようとしてくれてるのは、獣人族の長ライオネルさん。
東門に向かう途中にすれ違った大型の人虎その人だ。
悪い人ではないんだろうけど、手加減を知らないみたいだ。
僕は肩をめくり見てみると大きく赤く腫れてしまっている…
「おおっと、すまねえすまねえ!
人族ってのは本当に体が華奢なんだからよー!!」
「ライちゃん、ちょっとアルトっちをいじめないでくれるかい?
彼がこの世界から魔族を排除するための鍵なんだからさっ」
「その通りだな、ライオネルよ。
貴様のその馬鹿力で妾の夫を傷つける事など許されんぞ」
え?
今なんて言った?
「そ、そうだったな! イデア様!!
小僧なんて言って悪かったな! これからはアルト様かな!?
がぁっ、はっ、はっ、はっー!!」
「「え? えぇーーーーーー!!!!?」」
僕とシャルルを開いた口が塞がらない!
「何を今更アルトっちー。
博識な伝令係の君が知らないとは言わせないよー!?」
まさか!?
エルフの女性は生涯たった一人としか口づけを交わす事が許されない。
そして口づけした者と生涯を添い遂げるというロマンチックな童話だけの話…
じゃないって事!? 真実なの!?!?
「け、結婚なんて僕には早すぎますよ!!
だってまだ十四才なんですよ!?」
「アルトっち、法律は今から全部作り直しだよ?
人以外の種族にも適応した形に修正する必要もある。
だから十四才で結婚出来るように法律を作ればいいさ!」
何言ってるんだこの人は!
「妾の夫という事がどういう意味を持つのか…、解っていないのか?」
「…う、うん」
イデアの目力に圧倒され、僕は唾をのんだ。
「はぁ、仕方ない夫よ。
坊やは、新たにこの王都跡に創る新国の王となる!」
「「どうぇーーーーーー!!!!?」」
僕とシャルルを開いた口が塞がらないまま白目を向く!!
「ふふふ、天涯孤独の身と思ってはいたが…
まさか妾に相応しいだけの力を持つ者が死ぬまでに現れるとはな。
ふぁ! はぁ! はぁ! はぁ!!」
イデアの高笑いがアーチ状の天井に響いた。
——その後も魔物とは遭遇しなかった。
シャルルは僕が王様になる事にすでに順応したらしく…
道中様々な妖精特例法案を提案してきた。
なんて現金なやつなんだシャルルって…
知ってたけど。
そして何事もなく玉座の間まで辿り着いた。
結婚とか王様とか、この先の事はまだ何もわからない…
それでも、この先に続く未来を切り開くため。
僕は自らの手で玉座の間の扉を開いた。
次で第1章完だ!




