017/100 ランクアップ
今日は筆が進むひ。
——僕達四人は旧街道を進んだ。
旧街道は誰も通らないため手入れされた気配はない。
石や枯れ木など様々な物が乱雑に散らばっている。
基本的に僕とシャルルがランクアップのために戦う。
ハナちゃんが回復魔法で援護してくれ、サクは僕の剣術を見てくれた。
シャルルは風の精霊魔法で順調にスライムを倒してFランクになれたみたいだ。
でも、僕はスライムすら倒せないでいた。
剣をスライムに当てる事は出来るけど、刃が通らない。
僕が不器用なだけかもしれないけど…
剣を正しく振るという技術がどれだけ難しいか僕は実感した。
王国兵のみんながどれほど厳しい鍛錬を積んでいたか。
国を守るためどれだけの魔物と対峙してきたのか。
考えるだけで剣を握る両手は汗ばみ力が入る。
「ははっ、ここまで無能とは思わなかったぜ」
サクを呆れさせてしまったけど、言い返す言葉もない。
僕の汗が頬を伝い落ち地面を湿らせる。
「ただ、魔物に挑もうとするその気合いだけは認めてやる。
そうだな、貴様にはこの技がお似合いだろう」
サクは鞘から刀身を抜かずに構えた。
見た事のない形…
クロフォードさんのとは違うけど突きの構えだ。
サクは重心を低くし両手で柄を持ち、鞘を地面と平行に構えた。
「鬼々神流 弐ノ式 牙狼っ!!!」
サクが消えた!?
次の瞬間、スライムは跡形もなく弾け飛んだ。
サクの居た場所から一直線に伸びる黒焦げた地面がその威力をものがたる。
すごい速さで突きを繰り出したんだと思う…
だけど僕の目では完全にはサクの動きを追いきれなかった。
「要するにあれだな。
振れないなら突き刺せという事だ。
スライム相手にここまでは必要ないが…
突き一つでも極めればこれだけの威力がでるんだぜ」
サクは嫌な奴だけど剣の腕前はやはり一流だ。
クロフォードさんに匹敵するかそれ以上かもしれない。
僕は王都に着くまでに絶対にランクアップしなきゃいけない…
よし!やってやる!
サクの構えを思い出す。
不恰好かもしれないけど…
僕はサクを真似て両手で剣を握り構える。
そして最後の一匹のスライムに照準を合わせた。
突きは一撃必殺!
慎重にスライムの動きを観察するんだ。
スライムは左前、右前と交互にジャンプして近づいてくる!
ここだ!!
ありったけの力を込めて全力で僕はスライムへ突進した!
「うぉりゃー!!!!!」
「ちょっとちょっと、ご主人様ぁー!!
ちゃんと前を見てください!!」
ゴツッ!!
スライムの動きだけに集中していた僕は、落ちていた石に足を取られた。
前方に滑り転け、剣は宙を舞う。
ズサァーーーー
くそ…
何でこんなにも上手くいかないんだ…
どこまでも情けない。
やっぱり僕に戦いは向いてないんだ。
——うつ伏せのままの傷心に浸っていた僕に誰かが手を差し伸べてくれた。
「アルトさん、おめでとうございます、です。
無事Fランクに昇格出来ましたね!」
どういう事だ?
するとスライムに剣が見事に刺さっていたのである!
「はっはっは、貴様らしいな!
突きの勢いで、手放した剣がスライムを貫いたようだな!
偶然にせよ、初めて魔物を倒した事には違いない!!」
言葉はあれだけど、ありがとうサク。
これまでずっと僕を縛り付けていた重く見えない鎖。
その鎖が カシャン!! と鳴って、切れて…
僕は気持ち溢れるままに泣いた。
よく見るとシャルルはぐしゃぐしゃ泣き顔。
「う…、ひっく、シャルルぅ、やったよ僕!
魔物…、倒せた!!」
「うるうるぅ…あたし、ちゃんと見てましたよ!
とってもダサかったですけど、とってもかっこよかったですわ!!
ご主人様ぁ!!!」
僕達は両手を繋ぎ、回りながら、飛び跳ねてはしゃいだ。
「ふふふ、アルトさん子供みたいでかわいいです、はい」
「はぁ、及第点も与えられないが王都に着く頃には少しはまともになるだろ」
自分でも恥ずかしすぎて穴があったら入りたいぐらいだ…
だけど僕は、生まれて初めて魔物をこの手で倒した。
剣もまともに振れない、魔法も使えないこんな僕でも…
戦えるんだ!
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いわしより




