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序章
8月10日の午後、大学2回生の彼は将来について考えていた。自分はどんな職に就きたいのだろうか、と。ずっと続けていると言えることは、高校から始めたダンスくらいであろうか。しかし、ダンスを一生続けたいとは考えても、それを仕事にしようとは思っていなかった。その覚悟も技術も、自分にはないと彼は考えていた。
彼は、アニメ、マンガ、音楽、スポーツなど趣味は多く持っていた。しかし趣味と関係のある仕事に就くことのできる人間は僅かあり、自分はその一握りには入れないと知っていた。
したいことは多くある、しかし、仕事としてしたいことは何なのか。春頃から、彼の頭の中にその疑問は漂い続けていた。
考えても仕方がない、そう言って彼は立ち上がり、部屋の片付けに取り掛かった。