サタナエル
『未来の神話』、第一作!
後にSF『 Lucifer 』シリーズや、
エッセイ『文明の星』シリーズに発展した、独立の短編です。
次の作品などに出会って想像力が広がり、書くことができました。
『 空蝉ノ影 』https://www.nicovideo.jp/watch/sm1117787
(字幕は右下の吹出しをクリックすると消えます。)
『 地獄より愛を込めて 』https://www.youtube.com/watch?v=0Ww2IiJk14Y
創造的な刺激を与えてくれる、文化的作品に感謝します。
母が病気で亡くなる少し前、私は問題のあった父を抱え、
何の因果か集団ストーカーのような被害など生活環境のこともあり、
自分を表現できる場所もなく、荒れた気持ちでおりました。
そんなところへ、行きつけのネットカフェで、少しダークなものも含む、
アイマスなどの動画を見て刺激を受け、この作品を書きました。
それ以前に見た漫画『デビルマン』『アスタロト』、SF『幼年期の終わり』
聖飢魔Ⅱのライブビデオなどにも影響を受けています。
またその小説や続編を、ささやかな楽しみであったゲーム・アニメの
制作会社や業界の出版社などに、恩返しにでもなればと、
参考ネタの提供を兼ねたファンレターの一部として送ったりしました。
(ご迷惑だったら申し訳ありません)。
しかし、原作ゲームやアニメ、動画の素晴らしい芸術性や楽しさもあって、
もともと小心者でお人好しの私が書く物語は、
まるで超バチ当たりな(笑)設定の言いわけか罪滅ぼしをするかのように、
どんどん話が善良で建設的な方向に進んで行ってしまいます。
優れた文化芸術作品には、人間が持つ限りない想像力と欲求を、
安全に発散し、生産的に昇華する効用があるのでしょう。
こんなのイカんだろう! なんでこうなった!?
でも現実だってこういうことあるよな、じゃあどうすれば……?
などと考えながら書くうちに、とうとう社会に役立つ(と思う)
文明理論までこしらえてしまいました(笑)。
ただしこの部分だけを読むと、先がどうなるか分からない、
当初の印象がそのまま残っていると思います(懐旧の涙)。
ご興味がおありの方は、関連作品もお読みいただけましたら幸いです。
(古記録より)
……新皇帝は、〝熱情王〟及び〝強健公〟を伴いて辺境の彼の地を訪れ、次の如く語れり。
即ち、「先帝は我等に命じ、汝等〝未来あるもの〟達に知恵の光を分け与えしめたり。然し、帝威を借りし一部の奸臣共は、汝等を自らの私兵として選別・徴用すべく相争わせ、その意に満たざる者達を滅ぼさんと図れり。我等はかかる蛮行に異議を唱えたるが、悪臣共はこれに乗じて我等をも罪人と断じ、帝国軍の一部を率いて討伐を開始せり」
「我等帝国の忠臣及び、汝等〝未来あるもの〟のうち〝海を渡るもの〟達は、力を合わせてこの邪悪なる企みを阻まんと努めたるも、戦いは困難を極めたり。我等は幾度かの危機を乗り越え、最も凶悪なる一派の討滅に成功せしが、争いのうちに先帝消息不明となるに及び、自ら独立の国主を僭称する帝国の諸侯・将軍数多現れ出で、遂には国家秩序もまた悉く瓦解するに至れり」
「事ここに至りては、もはや旧来の帝国の存続は不可能なるがため、我等はこの地を含む広大なる実効的支配領域に、新王朝を創始することを決定せり。故に、我は今ここに帝国法に従い、皇家と我と訪問団の名において【編者注※ この部分は当時における未公開情報を含んでいたため、翻訳に意図的な修正あり】、汝等に対し新たなる治世の開始を告げるものなり」と。
続けて曰く、「〝未来あるもの〟のうちでも〝地を統べるもの〟の階梯にある汝等は、未だこの地を離れて我等と共に戦うこと能わざらん。故に汝等は、もはや先帝の御名による加護はなきものと心得、知恵の光に輝く自らの存在のみを正当性の証と為すべし。また今はただ、その輝きを汝等の幸福なる世界を築くためにのみ用い、旧帝国の賊臣賊将が放ちたる間諜に惑わされ、相争うが如きことなきよう、ここに要請する。これより汝等に国民として求める協力につきては、後日派遣する代表使節を通じ、あらためて伝達せん」と。
さらに重ねて曰く、「汝等がこの言を守りて、自らの惑星をよりよく統べる資質を養い、また星の河を越えて近隣の惑星を開拓し、さらには星の海を渡りて他の惑星系に到る能力をも得たる暁には、此度の戦争の帰趨如何に関わらず、空蝉の如く形骸化せし旧帝国の体制に代わるべき新秩序において、必ずや名誉ある地位を獲得せん」と。
放送映像に映る彼女は、栗色の御河童頭をせる愛らしき少女の姿なりしが、かつては〝知恵の光をもたらす者〟の二つ名を与えられし、旧帝国の文明開発長官なりき。即ち、発展途上種族に対する文明支援の功績から量子頭脳への人格転移を裁可され、最先進の文明段階〝心結びしもの〟に至れる種族の、代表人格を宿す分離個体なり。彼女の種族は先帝種族への情愛と帝国への忠誠篤きが故に、先帝を善神に模し、彼女自ら悪役を演じる伝承説話までも用いて、対象地域の文明発展に多大なる貢献を果たし来たれり。
帝国の慣習法に従いて統治を宣言したる後、新皇帝サタンは後任の文明開発長官アスモデウス、新設の本土防衛司令官アモンと共に、太陽系の第三惑星〝地球〟を離れ、次の目的地たる惑星系に赴けり。
注※ この部分は後に、次のとおり用語を意訳していたことが判明した。
皇家:〝種族融合体〟(知的種族サタンの全個体が人格を転移し、思考能力の向上や集合人格の形成が可能となった、母星の量子頭脳本体)
我:〝分離個体〟(個々の人格が活動するために自らを再転移して用いる、生体または機械の身体)
訪問団:〝種族分離体〟(複数の人格が母星外で活動するために自らを再転移した、対外派遣用の量子頭脳)