(29)若さの秘訣は、精霊様のおかげでした。
さて、おいしい『にゃんこスライムあいす』も食べ終わり、いよいよお祖父様達の謎
若い姿、美魔女っぷりの説明がはじまった ……
「リイア、私達のこの姿はさっきも言った通り精霊様のおかげと言ったのは、このアムカの大神殿に関係している事だ」
そう言ってお祖父様は、室内の真っ白い壁に指をさしながら
「この大神殿の壁に使用してる壁には、聖なる結界の力を持つ白樹が張られている。そのおかげで悪しき物は 、この大神殿には入ってこれないようになってる。
ただ、やはり、時が経つにつれ白樹の聖なる力はだんだん弱まり、やがて結界の力が消えると、新しい白樹に張り替えるのだが……
その白樹があるのが“蜃気楼の森”と言われる気まぐれに現れ消えてしまう森にしかなく採取が難しいのだ 」
“蜃気楼の森”!!ゲームの設定通りなら、突然現れる幻の森の事だ。
ゲームを進めると、ある村で時間制限ありイベントが発生して、 “蜃気楼の森”にしかない薬草と取ってくるイベントがあったけど、なんせ、いつ現れるか分からん森の情報を必死に探したけど結局、時間切れとなり攻略できなかった事を思い出した。
「もちろん、神殿側も、ただ白樹を待つだけではなく、聖なる力が無くなった白樹に結界の力を付与する術を使ったり色々と試したが、どれも上手くはいかず、どうしたらいいか悩んでいる当時の神官達にアムカの
大神殿にいる精霊様達が力を貸してくれたのだ。神殿の白樹の時を遅らせて、白樹の結界を長く保つように、時遅れの術を」
ぬ ぬぬぬぬぬっぬわんですっと!?精霊様の術で時を遅らせて、経年劣化を食い止めてるという事か!スゴい力だわ。
「ここから本題だ。リイア知りたかった事、
それが精霊様の力で白樹の時を遅らせてる影響は白樹だけではなく、大神殿にいる一部の人間にも時遅れの術が掛けられており、それに気づいたのは爪など髪の毛の部分の成長が他の人々と違う事に気づいたのだ。
特にアムカの神殿に住む精霊様達に気に入られている人間は若々しい姿のままという事だ。その証拠に私たち夫婦とあそこにいるジュールはローガンと同い年なのに17、18からほとんど変わってないのが証拠だ」
にゃ、にゃ、にゃんですっとーーーーー⁉チャラ男神官長は父様と同い年って⁉
「そうなんだよねー神殿にいると精霊様たちが僕らが疲れにくいように時遅れの術をかけてくれてるから、髪も爪の手入れも数年に一度でいいしある意味ベンリで感謝してるんだー、ただし困った事もあるんだあ。それはねっ」
チャラ男神官長が言う困った事って?
「物凄く身体の成長が遅くなってるんだよ~」
そりゃ、時を遅らせる術だから成長も遅くなるわな
うーん。大人なら老けるのが遅くなるのは嬉しい術だけど、まだ大きくなってない子供には嬉しくない術だわ
「成人前にアムカの神殿に移り住んだ時は気にしてなかったけど、15過ぎたらさすがに焦ったんだよね~まあ、僕は自分で気づいて精霊様たちに時遅れの術をしばらく、かけないでとお願いできたけど、ローガンの場合は気づかないで15過ぎても10~12歳ぐらいの姿で過ごしてたんだよ~まあ、そのおかげで王族の我儘姫の婚約者には、ならなくてすんだから~っ」
なんか、聞き捨てなら無い内容が色々とあったんだけどぉ!!
おとうさまっ!?それって、この世界では15歳は成人と言われてんのに
ショタってんたかい。お父様は美形だから、かなりの美ショタだったと思うよ。うん。
そして、ジュール様が言ってた父様と我儘姫の婚約の事は
お祖父様がさらっと説明してくれた。
「あの次期は、我が家と王族の間で色々とゴタゴタがあって、成長中のローガンに、かかっていた時遅れの術を解いて欲しいと精霊様達に伝えるのを遅れてしまい、ジュールが言ったとおり、ローガンが16の頃、王族の姫君と婚約の話があったが当の姫君が幼い姿のローガンを見て婚約をしないと叫んで断られたのだ」
あー良かった。マジ良かったよ。
その姫君から婚約断ってくれて私が思っていると
父様も
「ああ、あの時は特に何にも考えずローズ様との婚約を了解していたが、断られて本当に良かった。あの後、父上にすすめられて、兄上がいるオギネに行き、マヤラで、リリーに出逢えたのだから」
嬉しそうに語っている父様と
恥ずかしそうにしてる母様の頬が赤くりながら
「私も最初、ローガンと会った時は小さい可愛い少年だと思っていたのに、ある日、ローガンが急に身体中が痛いと言って倒れたのよ。それで原因をお医者様に診断して貰って尋ねたら、“成長痛”って診断されて、私が看病していると、最初の可愛いローガンから、あっという間に身長が伸びて大人になったローガンには本当に吃驚したわ」
なるほど、父様はオギネに行ったからアムカの精霊様の時遅れの術から解放されたって事か、母様も、まさか美ショタかと思っていた人物が成人男性なんて、吃驚するよねードキドキだよねー
そんな様子の両親を見ていた私達の近くで
ジュールが小さな声でボソボソっと呟く。
「……そりゃ、ローガンのお嫁さんがあの王族の我儘姫こと、ローズ様じゃローガンが幸せにならないと思ったルノーと精霊様達が時遅れの術を解くわけ無いじゃん、また王族や貴族からお見合いの話しがあると面倒だからオギネに行くように勧めて、オギネにまでついていった精霊様がローガンとリリーの仲のいいのを見て、時遅れの術を解いたと連絡が来たから良かった~
と思ってたら、まさか、結婚するってアムカの神殿に報告に来たローガン達と我儘姫が鉢合わせするなんて思いもしなかったんだよな。
そして、大人になったローガンを見た我儘姫が自分のハーレムの夫にしたい何てアホな事言った上に、獣人のハーフのリリーさんを見下しちゃうわ、それを知ったルノー達もブチギレるわ。
ローガン達も我儘姫や王族や貴族連中が嫌で中々、アムカには来なくなったんだよねーっ……それにしても、まさか産まれた双子ちゃんたちが神の巫女になるなんて……
はあ、とりあえず何も起こらない事を願うしかないや……」
◆
「ねえさま~っまた神官長さまが小さなお声で何か言ってるよ~っ」
「聞いちゃダメよ。レーア、また目があったら、こっちにくるかも知れないから見ないほうがいいわよ」
そう、私はその時のジュール様の呟きは聞いておらず
レーアと一緒に変態をキモいと、警戒するのに精一杯だった。