⑴ 進行表作成
9月11日、校内にはベニヤ板を打ちつけるカナヅチの音があちこちで鳴り響き、塗料の匂いがプンと鼻をつく。いよいよセ祭!華やぐ気持ちと緊張感が同居した不思議な気分だ。
フミカはクラス展示の手伝いを終わり、午後から電子工作部での打ち合わせに合流した。
部室に行くと、リサが生徒会から届いたステージ進行表に細かい要望を書き込んでいる。
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「フミカとオミはシンセのセッティングを変えたりがあるから、曲と曲の間は私がしゃべるね。え〜と『MC は全てドラム担当のリサ、要ハンドマイク』っと...『幕が上がり出したらすぐに1曲目の音が出ます。エコーは深めにお願いします』っと...」
「『照明は3人に幻想的にお願いします』だね。」
「そそそ、それ照明欄に書いとこ。」
「それからテキーラの時はオミちゃんのギターにマイクだから『要マイクスタンド』だね。」
「そうですね、マイクスタンドの準備は軽音のステージスタッフの方にお願いできるんですか?」
「うん、大丈夫なはず『ギタースタンドのセット、よろしくお願いします』 っと...」
「その後、私のピアノソロの間、リサちゃんとオミちゃんでキーボードの向き変えだね。プーランクの無窮動を2〜3周繰り返して弾くけど、向き変えが早く終わっちゃったら1周だけでも切り上げ可能だからね。」
「それは明後日のホールでのリハで実験してみよう。『ピアノソロの間にメンバー2名でキーボードの向き変更。可能でしたらスタッフの方にお手伝いをお願いします』っと... ま、軽音の人が手を貸してくれるだろうけど... で、その間の照明はフミカのとこにスポットであててもらうのが良いね。後ろでゴソゴソやってんの見えちゃうとカッチョ悪いもんね。『照明はピアノのみで他は暗く』っと...」
細かい演出指示を書き込んでいると、いよいよ本番が近づいて来た感じがする。
「予定だと、だいたい22〜23分くらいで全部終わるはずだから、演奏終わって幕が下りたら大急ぎでシンセユニットと電子オルガンを奥に押し込めようね。軽音のスタッフが手伝ってくれる事になってるけど、迷惑かけるとマズイっすからね。そいから〜... 当日はホール裏の楽屋前に本番30分前に集合、つまり午後1時集合って事ね。そんで~... 明後日のホールリハは30分間もらってて、何をやってもいいんだけど、私たちはシーケンサーのセッティング変更と、キーボードの向きを変えるのをテストするのが良いと思うんで、ポップコーンに行くとこと、フミカのピアノソロから炎のランナーに行くとこを重点的にやる事にしようかね。」
いつもはノリの軽いリサだが今日はテキパキとまとめ役になっている。細かい事を調整するのが苦手なフミカは内心大喜びだ。
提出資料を書き終えると、ちょうどチャイムが鳴った。まだ作業をしてもいいのだが全員体力温存のため早めに帰宅することにした。




