⑸ サエ師匠登場
「おはよう! どうよ調子?」
「うん、今ちょっとマッタリタ~イム!」
「ダメだって貴重なスタジオ時間を無駄に使っちゃ! リハスタ使う時は最初から何やるか決めといて、時間のロスを最小限に抑える、これバンドの常識!」
3人に喝を入れたサエコだが、ガラッと態度を変えて、
「ところでさ、表に怪しいタヌキみたいなデブ親父がウロウロしてたけど大丈夫か? なんかヤバくね?」
「それって、カメラ持ってヒゲもじゃの人?」
「そうそう、それ!」
真剣な顔で答えるサエコに、オミが笑いながら、
「大丈夫ですわ、それは私のお父様です。人畜無害ですから適当に放っておいてあげて下さい。」
と言ったので、サエコはちょっと気まずそうな顔をした。
リサが雰囲気を変え、
「オミパパは楽器運んでくれたんだけど、スタジオから追い出されていじけてるんだよ。それより練習練習! 次ポップコーンやるからサエ師匠も聞いてて!」
とタンバリンを構えた。
リサは左手でタンバリンを腰に当てながらリズムを取り、右手で電子オルガンのリズムボックスのスイッチを切り替える真似をしながら、演奏をスタートした。
<⭕♫YouTube によるサウンド♫⭕:ポップコーンはこんな曲>
https://youtu.be/Us_yKzlPFdE
「これリズミックで面白いじゃん!」
「でしょでしょ? 女子高生向けだよね?」
「こういう曲ならシスターに睨まれなさそうだよな。ロックだとすぐ怖い顔されちゃうからなあ...」
「本番は、これで楽しくしといて、次のテキーラで『レイナ様親衛隊も盛り上げて仲良くなっちゃおう!』って作戦なのだ!」
「そりゃ重要だね、とりあえずドラムをパーカッションっぽく叩くのはこうな。」
サエコはドラムでパーカッション風フレーズ叩く方法を伝授し始めた。
「テキーラの元曲でコンコン鳴ってる音あっただろ? あれカウベルっていうのな。牛が首にぶら下げてるやつで、結構ロックにも使うんだ。右手で叩けるようにスネアの横に付けとくんで叩いてミソ。」
そう言いながらカウベルをドラムに取り付け、
「カウベル叩く合間に、タンバリンも叩くと面白いから、左のハイハットの上にタンバリンを乗せちゃってハットと一緒に叩いちゃうんだ。右手でカウベルとハットを交互に叩いて、余った左手で適当にオカズを足すわけ。こんな感じ...」
と、リズムを叩いた。
「オオ、なるほど~! 一人でやってるのに、複雑なリズムに聞こえて面白いね!」
「だろ? やってみてみ!」
リサは交代してリズムの練習を始めた。
最初はヨタヨタリズム...
「う~ん、この前と同じで手と足がバラバラに動かんぞ!」
「バラバラで問題なし! 手順を覚えるまでシツコクやってると突然できるよになっから! 続けてミソ!」
.
.
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リサは10分ほど叩き続けていると、突然パターンが叩けるようになった。
「お~! いきなり叩けるようになった~!」
「だしょ? そういうもんよ。」
早速、オミがギターのリフを入れ始める...
15分もすると、そこそこ聴けるようなリズムになって来た。
「うん、良いんじゃね? 要は他の人にツラレないようにパターンをキープするのがコツな。」
「よし、コツは分かった! じゃあ、みんなでやってみよう!」
オミがリフをスタート、それにリサのパーカッションとフミカのベース、メロディーと音が増えて行く。リサが一人で色々な楽器を叩くので3人で演奏してるのに派手に聞こえる。
『テキーラ』の掛け声はとりあえず3人で絶叫しておいた。
<⭕♫YouTube によるサウンド♫⭕:テキーラはこんな曲>
https://youtu.be/EEbbDESHe_g
「うん、イイね。だけど掛け声って3人じゃ寂しいよなあ。万が一レイナ親衛隊がノッて来なかったら悲惨じゃね?」
「大丈夫ですわ。さきほど男性5人確保しましたから。」
「オイオイ、なんだよそれ? ナンパ?!」
「ナンパというと? 船が?」
オミは相変わらずボケた事を言っているのでフミカが説明した。
「さっきロビーでシンセの事で声かけて来た男の子たちにチケットをあげる代わりに叫んでもらう事にしたんですよ。」
「え? そんな事して大丈夫なのかよ?」
サエコは心配そうだが、オミは相変わらず淡々と言った。
「チケットはバザーも共通ですから、バザーから入ってもらってセ祭に紛れ混んでいただくわけです。」
「なるほど! やるね~! 知能犯じゃん!」




