⑵ きっと凄くなるに違いない!
リサは解説を続けた。
「それから ADSR の『S=サスティン』は鍵盤を押し続けた時の電圧の高さ調整。もしサスティンが0だと、鍵盤をずっと押し続けても最終的には電圧が0Vになって音は消えちゃうんだ。
バイオリンみたいに弓で弦をこすってる間、音が出続けるような場合は、このサスティンを上げとくと鍵盤を押し続けてる間は音が出続けるってわけね。」
「なるほど。」
「最後の『R=リリース』は、鍵盤から手を離した後で電圧が0になるまでの時間の調整。チャイムみたいに叩いた後で徐々に音が小さくなってくような時に使うの。リリースが0だと、鍵盤から手を離すとすぐに音が消えちゃうんだ。」
<⭕YouTube による解説⭕:ADSR を試してみる>
https://youtu.be/iVce9f4mjMA
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「次は VCA。ここはスイッチがひとつしかなくて、ADSR の電圧で音量が変わるようにするか、Holdって言って、音を出っぱなしにするかだけ選べるの。」
「音が出っぱなしになったら困らない?」
「うん、普通はね。だけど効果音なんかを出しっぱなしにしたい時に、鍵盤をず〜っと押してるのって疲れるじゃない? そういう時に VCA をホールドにしちゃうの。そうすると楽ちん!!」
「それは素晴らしいですわ! 先日フミカさんと『ステージのオープニングはタンジェリン・ドリームのように効果音から始めよう』と話していたんです。 VCA をホールドにしてツマミを動かしながら色々な音を作れば盛り上がる事間違いなしですわ!」
「そうだよね! 鍵盤を押してもいないのに『ミョ〜〜〜!』って音が出たりして、それをマッドサイエンティストみたいにツマミいじって音色変えて... 絶対みんな驚くよね!」
フミカもすっかりマッドサイエンティスト属性になったようだ。
「イイネイイネ! じゃあ、私もマレットで色んな音を出して参戦するよ!」
「お手柔らかにね!」
「あとはアメリカから Midi インターフェイスが届いたらポルタメントのボリュームを付ける予定。ポルタメントのボリュームを上げると『ウ〜ウ〜〜〜』ってパトカーのサイレンみたいに、鍵盤の音程が連続的に変化させられるの。これが基本的なシンセサイザーの全てだね。」
<⭕YouTube による解説⭕:ポルタメントを試してみる>
https://youtu.be/zMw4DGgyMro
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「頭がクラクラした~!」
「まあ、いじってるうちに覚えるって。それに本番の時は1曲毎にツマミの位置を書いたセッティングチャートを作るから、それ見ながらセットを変えれば大丈夫!」
「リサちゃんがそう言うなら頼りにするよ! 私とオミちゃんは演奏の方、頑張るね!」
「よろしくね! で、今日、Midi インターフェイスが税関を通過したって通知があったから、あと2~3日で全部の基板が完成すると思うんだ。そしたらカッコ良いパネルを作ろうと思うんで、そん時は手伝ってね!」
「パネル?」
「そそそ、ステージに並んだ時、まさか基板むき出しってわけにはいかないでしょ? んでね、透明なパネルを買って来て、それに穴開けてボリュームとかスイッチを付けようと思ってるのだ! 見た目がカッコ良いと、なんか音も良さそうな気がするじゃない!」
「なるほど〜!」
「もちろん、ランプのチカチカも付けますぞ!」
「リサちゃんの最重要項目だもんね!」
「そそそ! でもさ、ステージの上にランプがチカチカする機械があって、それで演奏したら、それだけでみんな凄いと思っちゃうんじゃない?」
「そうですわ! YouTube でも話題になるかもしせません!」
なんだか、また話が飛躍し始めたけど、
“これはきっと、とんでもなく素晴らしいステージになるに違いない!”
3人は『なんだか凄い事が起こるに違いない!』という高揚感に包まれるのだった。




