⑷ 作業開始!
誤字脱字の他にも、オミに注意された、
・句読点が多すぎたり、少なすぎたりしたらチェック(ネットで文章を書いた後の原稿は、無意識のうちに句読点を沢山打ってしまうらしい)
・登場人物の位置関係や、自分の周りの様子が頭の中に絵として浮かばないようなシーンはないか?
・より簡略化できる言い回しがあれば記載しておく
・今までの本で説明していないのに出てきている話題はないか? 逆に説明がダブっている所はないか?
・過去に出版された本の内容と矛盾する気がしたら、迷わず既刊をチェック!
といったようなポイントも考慮し、今まで出ているバードラ関連本をすべて手元に置きながら、フミカは作業を開始した。
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なるほど、最初の段階の原稿というのは色々な間違いがあるものだ。最初に気づいたのは、予測変換で出た候補の後ろに別な言葉をつなげてしまうケースだった。
『あなた』と打った後の予測変換で『の』が付いたのに『は』を入れてしまい『あなたのは小さい』と微妙な内容になっていて、ちょっと笑ってしまったり...
オミの言った通り物語に入り込み過ぎないように冷めた目で赤を入れて行く...
途中ちょっと休憩しながらボンヤリと外を眺めたり、疑問点をオミに聞きに行ったりしながら一通りの作業を終えた時には、もう外は薄暗くなっていた。
フミカが作業をやめ休憩していると、オミが、
「いかがですか?」
とリビングに入って来た。
「うん、こんなもんかなあ? とりあえず私が読んで変と思うとこは全部印つけといた。」
フミカがそう言うと、声を聞きつけて奥の部屋からリサが出てきた。
「ハァ〜、途中ちょっと寝ちゃったけど、だいたいこんなもんかな?」
“1時間900円で寝ちゃってて良いんですかあ?”
サエ師匠に聞かれたら『これだからお嬢さんはな!』とか言われそうな気がするけど、まあ校正が出来たのならいいのかも...
3人が修正点を確認し合っているとオミパパもノソノソと部屋に入って来た。
「どんな? 出来た?」
「本日分は完了ですわ。」
「そ、んじゃ、お腹空いちゃったよ。お寿司でも食べる?」
「ウンウン! 食べる食べる!」
「じゃあ私も。」
と二人が言ったので、フミカも便乗してご馳走になる事にした。
フミカは、
「あの華南せかい先生にお寿司をご馳走になるなんて幸せ!」
と思いつつも。
「この熊タヌキおじさんが華南先生とは...」
と、相変わらず割り切れない気持ちだ。
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お寿司が届くとオミパパが言った。
「今回もサリミオン大活躍だからねえ。オーちゃんとリッちゃんにもお世話になりっぱなし。」
「そうですよ〜! 私とオミちゃん歌うたいっぱなし!」
笑いながら言うリサに、フミカが少し疑問符の付いた表情をした。
「気がついてました? サリミオンって、オミとリサの名前を逆から読んでたの。」
フミカは確かに! と気づき、
「あ、そっか〜!」
と笑った。
「気をつけないとフミカの名前もオミパパに登場人物の名前にされちゃうよ!」
「それ良いねえ。フーちゃんはフミカだから、翼の呪術師カーミフとかどう?あ、それ良いなメモメモ!」
「え〜?! そんなに簡単に登場人物決めちゃっていいんですか?」
「ストーリーって読んでる人が思うほど深く考えないで作ってるみたいですよ。ねえ、お父様?」
「そうそう、長時間考えれば良いってもんじゃないよねえ。バードラだって締め切りに追われて出かけた駒沢のファミレスで苦し紛れに考えたネタだもんねえ。今みたいにウケなかったら、1話で終わるつもりだったしさ...」
フミカの中でファンタジーな幻影がドンドン崩れて行った。




