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それ行けシンセ女子!  作者: MikBug
Day7:7月10日/生徒会議は大炎上!
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⑶ 軽音部長の抗議

「⚡今回のステージ枠の抽選にはかたよりがあると思います。クラシック系が優先されて軽音系は軽視されていませんか?


  合唱部はホールも礼拝堂れいはいどうも使っているし演劇部だってホールの時間帯を押さえている。軽音は視聴覚室とホールが少しだけで、枠数わくすうも圧倒的に少ないと思います。


  しかも日曜のホールの一番良い時間帯を取った LFO は音楽でも演劇でもない電子工作部です。電子工作部は部屋での展示だって出来る。


  さらに LFO のメンバー表を見ると、出演者にはピアノ部の人もいます。ピアノ部もホールと音楽室を使えるのに、その上、別の部と組んでホールの枠を押さえるのは明らかに不公平じゃないですか?」


 フミカはギョッとなった、


“これって明らかに自分の事を言ってる”


 軽音部長はさらにまくし立てるように続けた。


「⚡今、渡された資料を見ましたが、LFO だけ PA たくの接続がラインばかりです。


  他の枠の人たちはマイクがメインなのに LFO だけラインとなると、その時だけ PA 卓の接続を変えるか、LFO だけのために大きな PA 卓を借りなければなりません。


  しかも全体の PA を担当するのは軽音です。軽音は他の部の出演者の裏方じゃありません!」



 軽音部長はかなり怒っているようだ。フミカはリサに小声で、


「なんかマズイ雰囲気... で、ラインって何?」


 と聞くとリサも小声で答えた。


「電子楽器の出力みたいにミキサーに直接つなぐのがライン。ピアノとか歌はマイクで拾ってミキサーにつなぐから、マイクとラインが混在こんざいすると、スイッチで切り替えるか、大きなミキサーが必要になるんだよね。」


「じゃ、PA は?」


 とフミカが聞くと、リサはちょっとまって、


「エット〜〜、ペンシルバニア州?」

「イ? それってアメリカの州の略称でしょ? なんで地理の話?」

「んとんと、そんじゃプロトアクチニウム?」

「それってメンデレーエフ先生の? 化学の授業に出た? いやいや、いくらなんでもその PA じゃないでしょうに!」


(作者注:プロトアクチニウム=原子番号91でドイツの科学者が発見した。工業用に使われるが周期表では物凄く後ろに出てくる。なんでこんなマニアックなの知ってんでしょうね?)


 フミカはそう聞き返したのだが、これが軽音部長に聞こえてしまったらしい。彼女はフミカたちの方を睨みながら、


「あなたたち PA も知らないの? PA がなきゃラインは困るでしょ? 音出なくなっちゃうんですよ。おんでもいいんですか?」


 と言った。フミカは、


“『無音?』どこかで聞いた言葉。あ、そうか金曜の代官山の4分33秒ネタだ”


 そう思い出した瞬間、嫌な予感がした。フミカは真面目で厳粛げんしゅくな雰囲気の時ほど、なんだか急に可笑おかしくなってしまうタイプなのだ。


”なんか危険? なんかなんか、やな予感?!?!”


 と思った瞬間、リサがくちびるとがらせながらうつむき加減に、


「♨️ ムォーン ♨️」


 と、こないだのつまらないギャグを小声でかました。フミカは緊張の糸が突然切れ、


「ブハァ〜」


 と吹き出してしまった。

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