⑶ 3人目の女の子はフワフワ栗毛
「⚠️ カーット! カット! カットですわ! ⚠️」
フミカが驚いて声の方を見ると、部員たちの中に、ひときわ上品そうなフワフワ栗毛の女の子がスマホを片手に立っていた。
その栗毛女子は、
「うーん、ダメですわ! ささ、もっと会話をお続け下さい。」
とスマホをこちらに近づけた。
「それって動画撮ってるの?」
フミカはスマホを覗き込みながら質問した。すると後ろのリサが、
「うん、彼女は記録係のオミちゃん、この歴史的瞬間を記録してもらってるのだ!」
と晴れやかに言った。
もう何にも驚くまいと思っているフミカに、オミと呼ばれた子はおしとやかに、のたもうた。
「❤️ 私、オミと申します。2年C組、リサさんとは幼馴染みですの。」
なんだか高貴そう... そういえばC組にハイソな子がいるって噂があったっけ。それってこの人?
「でね、このシンセの初演奏をビデオに撮ってもらってるのだ! ね、オミ!」
「リサさんが画期的な楽器を作ったから記録して欲しいと申されましたので、失礼かとは思いましたが撮影させていただいておりました。私、リサさんとはご近所同士でしたので、小学校の頃から折に触れて記録を残させていただいております。」
小学校から、この性格のリサと友達とは中々の人格者なのでは? フミカはそう考えながら、
「ビデオ、いつから撮ってらしたんですの?」
と思わず高貴っぽい口調で尋ねてしまった。
「お二人が教室に入ってからずっとですわ。」
どうやらオミはフミカの困惑する顔もシンセから出る発振音も全て録画していたらしい。
“え~? それって最近の個人情報どうのこうの的にどうよ?”
とか思ったフミカだが空気を読んで黙る事にした。
丁度その時チャイムが鳴り出した
「そういうわけでシンセを作って拡張してくから、よろしくね!」
「リサさんが頑張って楽器を完成させますから是非よろしくお付き合いお願い致しますわ。」
フミカの意思は関係なく強制参加らしい。
でもなんか面白そうだし
“ま、いっか!”
と思うフミカだった。