⑺ アキバに行くです
ミュージシャンがライブで腕を上げるようなポーズを真似をしていたリサは、突然、
「よし! それじゃ大成功への第一歩でボタン鍵盤拡張すんのに、部品が足りないからアキバにパーツ買い出しに行こう!」
と言い出した。
「え〜、シンセの部品を買いに? アキバって萌え~なメイドさんのだよね?」
「そ、そのアキバ!」
「生乾きの T シャツとオデン缶が香ばしく薫る?」
「そそ、そのアキバ!」
「地下アイドルの?」
「そそそ、ってフミカさ~ん、なんか偏見持ってません~? アキバは電気部品の街なんだよ。」
リサの熱弁にオミも、
「そうですわ。最近の秋葉原は偏った報道をされていますが、元は電気部品を売るお店が集まった所だったんです。私もリサさんと時々行くんですが部品屋街は凄いですよ。20世紀中頃のお店がそのまま営業しているような、たとえて言うならゲームのダンジョンみたいですの。」
「オミちゃんもゲーム? ダンジョンって洞窟でしょ?」
「本当にゲームの洞窟みたいなんです。電車のガード下がお店なんですの。」
「そそ、洞窟みたいな所で店員とお客さんが部品の特性を熱~く語り合ってるのだ。」
“やっぱマッドサイエンティストだ!”
フミカは確信した。
「じゃ、土曜1時にアキバ駅前で!」
例によって勢いで決定しちゃったけど、拒否する理由もないしダンジョンも見たいのでフミカも同行する事にした。




