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2章

「ねっむい……」


オレと日織は仲良く通学路を歩いていた。

月曜日は面倒だから休みたいんだが、朝に無理矢理起こされて登校する事になった。



「夜更かしするからでしょ?」


「いいだろ別に、お前だってゲームやってんじゃん。」



そんな他愛ない会話をしていると、誰かの気配を感じた。

日織の肩に迫ってくるであろう腕を俺は捕まえた。



「日織には手を出すなって言っただろ、将大?」


「そう怒るなよ!」



将大は確かに親友だが悪い噂も耳にする。

女遊びが酷いらしく、見境無く女に手を出しているらしい。

当然の如く、日織の事も狙っているわけだ……


もし日織の正体がバレでもしたら――



「日織、先に行っててくれ。」


「う、うん。」



頷くと、日織は小走りで学校に向かっていった。



「前にも言っただろ? 日織は内気だからお前みたいなのは嫌いだって。」


「だってよー、日織ちゃん可愛いじゃん? 多分学校で一番だって思うんだよ!」



呆れて物も言えない。 こうなると将大は手に負えない。



「だからせめて友達から! な?」


「無理だと思うぞ?」


「ぐぬぅ……諦めないからな。」



いい加減諦めて欲しい所である。






結局将大と仲良く教室に入ったのはホームルームぎりぎりの時間だった。

担任の(つかさ)は、まるで眼中に無いようにオレ達を無視してホームルームを進めている。


オレはこいつが嫌いだ。

いや、主がではなく先生というものが嫌いだ。

いつも何もかも知ってるような言い草でオレ達生徒に語ってくる。

どうせ分かりもしないくせに……



「そうだ葉月。」


「あ?」



唐突に主がオレの名前を呼んだ。



「ホームルームが終わったら職員室に来なさい。」



あぁ、めんどくさいな。



返事もせずにオレは窓の方に視線を移した。

今日もいい天気だ。 こういう日は屋上でゆっくりするのもいいな。



「葉月、何かあったの?」



隣の席の日織が心配そうに聞いてきた。



「どうせ進路希望書出せって話だろ。」


「そっか、ならいいけど……」



アイツになんてオレ達の事は分からないさ。

そう、あんな大人には――






「ちーっす」



そう言ってオレは職員室に入った。

当然の如く周りのセンコー共はゴミを見るような視線を送ってきた。

その視線を無視して歩く――



「で、何か用?」



主の目の前に立ったオレはそう聞いた。



「進路希望書、出してないだろ?」



あぁ、やっぱりか。

予想通りの解答に特に何も感じなかった。



「あぁ、今度書いてもってくるわ。」


「またお前はそんな……大事な自分の将来の事なんだぞ?」



面倒だ……

コイツは語り始めると手がつけられない。

オレの事なんだから放っておいてくれよ。



「ご両親もいない君だからこそ心配しているんだ、だから先生と一緒に考えていこう。」



自分が親代わりになったつもりか?

――笑わせる



「考えとくよ、じゃあなセンセー。」



無駄に絡まれる前にオレは話を切り上げて職員室から出た。

主は納得いかないという顔をしていたが割とどうでもよかった。



「午後からの授業はサボるか。」






昼休み、ワタシは一人で茶道部の部室に佇んでいた。

教室にいても話す相手なんて葉月だけ。

こうやって一人でいる空間を確保したいのだ。



「誰かいるんですか?」



びくり――と、体が反応する。

部室の扉の向こう側から声がする。

この声は誰だったかな……


自らの記憶を辿ると、一人の部員の顔が浮かんできた。

あぁ、後輩の東子ちゃんか。


「どうぞ。」



そう言って中に招き入れた。



「日織先輩! お昼休みに、こんな所で何してるんですか?」


「ん、ちょっと一人で色々考え事したくてね。」


「それ、なんか分かります。 私も一人で考えたい時があるんですよ。」



確かこの子は、担任の主先生の妹さんだったっけか。

私達と同じ、幼い頃に親を亡くした境遇。



「でも良かったなぁ、今日ここに来て。」


「ん?」


「私ね、先輩と色々話してみたかったんです。」



ちょっと意外だった。



「どうして?」



部活ではなるべく目立たなく行動しているつもりだった。

だからこそ、彼女の色々話してみたかったという言葉は気にかかった。



「え、えっと……」



何故か彼女は少し頬を赤らめ、少し俯いてから答えた。



「先輩って綺麗じゃないですか。私、先輩みたいになりたいんです。」



彼女の返答に、流石にワタシも赤面した。

生で初めて綺麗なんて言われた気がする。

普段はブログでのコメントだけだし……



「そ、そうかな……?」


「はい、なので友達になりたいんです。」


「うん、いいよ。」



しまった、勢いで承諾してしまった。



「ありがと先輩!」



これはまずいのではないだろうか。

自分の隠している秘密もあるわけで――



「なら、今度家に遊びに来て下さいね♪」



うん、非常にまずかった。






「なぁ、聞いてるか?」


「ん? あぁ。」



オレと将大は、午後からの授業を屋上でサボっていた。

午前の事もあり、授業に出る気もなくなっていた。



「お前聞いてなかっただろ。」



まぁ一人じゃ暇なんでコイツも連れてきたわけだが。

女の話で一人で盛り上がってうっとおしいわけだ……



「なんで彼女を作らないか――だろ?」


「そうそう、そうだよ!」



そうは言われても、今まで特に人を好きになった事がない。

秘密をもっている事も理由の一つでもあるが。



「そうは言われてもなぁ……」


「告白とかは無いのかよ?」



告白は何度かされた事はある。

もちろん全て断ったが。



「その顔は、された事あるって顔だな?」


「悪いか? 全部断った。」


「は?」



将大はそれを聞くと急に立ち上がり、すごい形相でこっちに近づいてきた。



「お前、それ最悪だぞ!」


「はぁ?」



コイツは急に何を言い出すんだ?

告白を断る事が悪い事だっていうのだろうか?



「相手の気持ちも考えろよ!」



相手が嫌な思いをする?

いや、それは告白する時点で断られる覚悟はしているだろう。

コイツは何に怒っているんだ?



「だってなぁ……」



怒りの意味が理解できず、頭を掻きながらそう返した。



「よし、今週の日曜は二人でナンパしにいくぞ。」


「は!?」



また突拍子もない事を言い出した。

今の話からなんでそういう方向になるんだ。



「お前には女の気持ちを知る事が大事だ! 故にナンパで訓練してもらう!」


「意味わかんねぇ……」



断った所で家まで押しかけてくるんだろうな……

面倒な事になった。


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