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1章

オレは神様なんか信じちゃいない。



我慢して、大人の言う事聞いて……



そんな人生の何が面白い?



世の中好き勝手やって、自分が楽しんだ者勝ちだろ。



そう思ってた。



事実、そう生きてきた。



でも、それは間違いで……



オレは逃げていただけだったんだ。



自分の運命から……






弟が泣いている



またクラスの男子にいじめられたんだろう。



「大丈夫か?」


「うん……」



(オレ)達はずっとこうだ。

間違って生まれてしまった双子。


まるで呪いのように大人のルールが絡みついてくる。



男らしい(オレ)

女らしい(ワタシ)



大人が勝手に決めたこの世界は、(オレ)達には生きづらかった。

そもそも、合わせる必要があるのだろうか?

周りと同じく生きる意味はあるのだろうか?



――あぁ、そんな必要はない。



だから、決めたんだ。



「なぁ、葉月……」



名前を呼ぶと、目を赤くした葉月はこちらを見上げた。



「とりかえようか。」






ピピピ……ピピピ……


不愉快な音が聞こえてきた。


確か今日は休日のはずだ。

恐らく目覚ましのアラームを切り忘れたのだろう。

そう思いアラームを切って布団を被り直した。



何か忘れているような……



「ぁ……」



小さく声が漏れる。


寝起きの頭が少しづつ覚醒していき、一人の男の顔が思い浮かぶ。



そうだった、確か約束があったんだったな。



布団を蹴飛ばし、オレは気怠そうに起き上がった。

時計を見ると7時。

今日は将大と、他校の剣道の練習試合を見に行く予定だった。



鏡を見ると長い髪もぼさぼさで、寝起き酷い絵面の自分が映っている。



「酷い顔……」



そう呟いて部屋を出た。





「くっそ! 寝癖直らねぇ!」



必死に寝癖を直そうとしている葉月。

ワタシはそのいつもの光景を横目で見ながら朝食のトーストを頬張っている。



「なぁ日織、オレの髪留めのゴム知らねぇ?」


「それなら床に落ちてたから、本棚の上に置いておいたよ。」


「サンキュ!」



髪留めのゴムで長い髪を一つに束ねる日織。



「じゃあ行ってくるわ!」



なんとも慌ただしい事だ。

とても双子とは思えない。



ワタシ達は半一卵性双生児として生を受けた。

一卵性双生児ほどでは無いが瓜二つの容姿をしている。

しかし性格は御覧の通りだ。


両親が幼い頃に事故で亡くなり、祖母と3人で暮らしていた。

その祖母も一昨年亡くなり、今では二人で暮らしている。


少々特殊な環境で育ってきたワタシ達だが、第三者から見て普通の兄弟にしか見えないだろう。

今の会話でさえも他愛の無い微笑ましい光景にしか映らないはずだ。



でも……



(ワタシ)達は、人には言えない秘密を抱えている。



「さてと、作りかけのコスでも完成させようかな。」






「遅いぞ!」


「悪りぃ!」



将大はバス停でオレを待っていてくれた。

腕時計を見ると、バスの到着時間5分前だった。



「まぁ寝坊するのは分かってたけどな。」



そう言いながら、困ったような顔をして頭を掻いた。

まぁ上辺だけで、全く困っていないのも知っている。



「遅刻しなかったからいいだろ? これでも楽しみにしてたんだぜ?」


「そうだな、次の大会での優勝候補だし。練習試合を見ておいて損はないな。」


「ま、俺が勝つのは変わらないがな。」



そう言いながら到着したバスにオレ達は乗り込んだ。



オレ達は半一卵性双生児として生を受けた。

一卵性双生児ほどでは無いが瓜二つの容姿をしている。

しかし性格は御覧の通りだ。


両親が幼い頃に事故で亡くなり、祖母と3人で暮らしていた。

その祖母も一昨年亡くなり、今では二人で暮らしている。



でも、――(オレ)達は、人には言えない秘密を抱えている。



互いの名前と立場を入れ替えたのだ。


オレは日織から葉月に


葉月は日織に



そりゃあ生きていくには不都合もある。

そこは上手くやり過ごして暮らしている。

確かに大変な事も多いが、オレ達は今の生活に満足している。


出来るなら、今の生活がずっと続いて欲しいと願う……

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