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僕と死神  作者: 鏡 誠
1/2

藤原啓太

夏の残暑もようやく柔らかいできた10月10日。少し重めの木製の椅子を部屋の真ん中の辺りへ運ぶ。椅子の上に立ち、昨日買ったコードを結ぶ。

本日、僕、藤原啓太は自殺します。


1

小学生の頃から、小学生ではなかなか珍しいぼっち生活を送っていた。中学校もほぼそのまま上がるので、自体が改善されることはなく中学校でも相変わらずぼっち生活だった。


環境を変えたくて、東京の高校を受験し、見事に受かり高校生ながら東京での一人暮らしを始めた。


環境が変わり、自分もなんとなく変われんじゃないかと甘く考えていた。


高校の入学式、僕の心は期待と不安、割合で言うと、2:8ぐらいの割合でいっぱいだった。


クラス発表の紙を見て自分のクラスに行き自分の席に座って、周りの様子を伺う。


周りの人も新学期特有の緊張感を放ち黙って席に座っている。廊下からは中学校が同じであろう人達の話し声がやたらと大きく聞こえる。


高校の初日、この状況で僕、藤原啓太が取った行動は

(話しかけられるのを待つ)

のスタンスだった。


〜〜一ヶ月後〜〜


初志貫徹、最初をスタンスを貫き通していた僕は、ぼっちだった。


見た目は自分で言うのはあれだが、普通だ。良くも悪くもない。


身長は170センチくらい。痩せ型で前髪が眉毛ぐらいまで伸び、少し癖っ毛が入っている。


そんな訳で、何回か話しかけられることがあった。


しかし、僕は自分が思ってたよりコミニュケーション能力が低かったらしい。


初日から話しかけられるシュミレーションを10パターンほど考え、受け答えもばっちりでクラスの人気者になる妄想を20回ほど繰り返したが、現実は厳しかった。


まず第1声が裏返る。2オクターブぐらい。

そして、自分から話題が振れなかった。

これが大きかった。


「名前なんていうの?」


「ふ、藤原啓太です。」


「藤原くんか。地元はどこ?東京?」


「いや、群馬のほうです。」


「へ〜。部活はなんかやってたの?」


「いや特に」


「そっか〜〜」


「………………………」


「…………ごめんちょっとトイレに……」


結局僕がこのやりとりで、彼の情報は何一つ得られていない。名前も知らないままだ。



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