結婚指輪
書き直し多いかもです。
「あなたっ、そろそろ新しい顔に交換したら?」
「え?ああ、そうだな〜。今使ってる顔は大体5年くらい使ってるしなー。」
「整形(修理・パーツ交換)で済めば、それでも良いけど、髪の毛と鼻の劣化が激しいって最近よく言ってるでしょ?それに男は年相応のダンディがカッコいいぞっ」
「う、うん。考えておくね…」
「きれいきれいしないと、ばっちぃゆうちゃんにはもうキスしてあげないよ?」
俺は愛子からもらった結婚指輪を眺める。
この指輪は、かつて脚力増強のために取り替えて、結婚のために大事に保存していた彼女の足骨の欠片を加工して出来ている。
もちろん彼女の骨とは言っても、こんなものは誰のでもほとんど分子構成の変わらないただのカルシウム化合物なんだけど。
馬鹿馬鹿しく思うかもしれないけど、でもこの時代のカップルはみんなこうすることになっているんだ。
流行って奴がいつの間にか伝統?みたいになっている。
前世紀後半から今世紀の前半にかけて、日本の多くのカップルがウェディングドレスの結婚式を挙げたがったのときっと同じことさ。
この指輪をすると、相手をより身近に感じることが出来るんだなぁ。
愛子のにはたしか、俺の腕骨を使わせている。
1年前の指輪。3年前の愛子との出会い。5年前から使っている俺の顔。
ちなみに俺は現在28歳。
愛子は21歳
ここは21世紀も終わりに近づいた2090年の日本。
安全に肉体を取り代える技術が高度に発達して、身体能力強化や病気・事故の予防のためだけでなく、誰もがファッション感覚で自由に肉体交換を楽しみ、さらに最近では外科的な脳の増強・増設や記憶の書き換えまでが行われようとしていた。