「薬草だと思って食べたら毒草でした、どうしよう」
《薬草?毒草?》
いつもは誰もいない草原に、二人の人影があった。その影は、背中あたりまである長く赤い髪をした女の人と、長い金髪を後ろで一つに縛った男の人のものだった。
旅の途中。ふと立ち寄った草原で、二人は薬草探しをしていた。集めた薬草は、怪我をした時に使ったり町で売ってお金に替えたりする。しばらく、二人は薬草集めをしていた。
「大丈夫?」
アナレアの心配する声がした。
仰向けで寝ているレイトは「うぅ……」とうめき声をあげる。
「一応、治癒の術はやったけど……」
レイトが目を覚ますと、アナレアの心配そうな顔が目に入ってきた。
確か、自分は薬草集めをしていたはずでと、レイトはあいまいな記憶を遡る。
「薬草だと思って食ってみたら、毒草だったとは」
「いきなり倒れるから、びっくりしたわよ、もう」
アナレアの言葉に、レイトはかわいた笑い声しかあげられなかった。
「ははは、ゴメン。俺だって焦ったんだよ。薬草だと思って食ったやつがまさかの毒草で、やべえ、どうしようって思ってるうちに意識がなくなってくから」
「バカね。で、なんで薬草なんか食べようと思ったのよ」
「薬草つみしてたらさ、飽きてきたからちょっと食ってみようかなぁーなんて思った好奇心からだな」
仰向けに寝たままのレイトが、自慢げに答える。
「呆れた好奇心ね」
レイトの答えを聞いたアナレアは、溜め息を漏らした。
「いいんだよ」
アナレアに呆れられ、レイトは拗ねたように顔を背けた。
fin.
H24 4/11
…ひとやすみ…
続けたいけど、続かないからここで。
アナレアとレイトの二人も結構書きやすいですね。書いていて楽しいです♪
また機会があったり、話が浮かんできたりしたら書きたいです。