パーティ
一度目の空中戦訓練も終わり、米軍のパイロットとの催しが開かれた。はっきり言ってこういう会は苦手だ。人が多い、の一言に尽きる。逆に言えばそれ以外特徴がない。
あのF/A-18のパイロットに会いたかったが、余り期待しないほうが良さそうだ。下手をすると勝った側が負けた側に嫌味を言った様にしか見えなくなる。
ミキ・ホーレイ。あのF/A-18「301」のパイロットの名前らしい。日系だといっていた。運がよければ見つかるかもしれない。
この軍事演習中に何か事があったら即座に反撃を開始するらしい。中国のJ-20も危険だといえる。
「おい、そこの!」
「?」
声を掛けられる。少なくとも絡みに来た訳ではないだろう。声が友好的だ。
「さっき言ってたスーパーホーネットのパイロットだ」
さっき名前を聞いた男だったと思い出す。わざわざ呼んでくれたのだろうか。
「あぁ。親切にどうも……」
「ミキといいます」
隣の小柄な女が言った。言葉が端的だ、とも言える。少なくとも冷徹でも感情的でもない、落ち着いた声だった。
「コーイチだ。今日は凄かった」
「今日?……ええっと」
「貴方を撃墜したF-15だ」
「あぁ……」
声がやや暗くなる。嫌味を言いに来た、と誤解されるのは癪だ。だが考え方によって何を言っても嫌味にしか聞こえないことに気付いた。
「ストール・ターンは凄かった。一体どうやった?」
「…………」
「あんな芸当が出来るパイロットは、少なくとも僕の周りにはいない」
「失速の一歩手前でラダーを最大に。ずれて構わないならエルロンも入れておいたほうがいいわね」
それだけでは出来ないだろう、と思う。きっとボストールに優れたF/A-18だからできる芸当だろう。あるいは神がかったタイミングが無ければ出来ない。でもそれがあったら僕は負けている。
「1対1であそこまで技を知っているのは驚いた。唯……」
「何?」
「実戦では……多数対多数では使いどころを誤ると別の機に墜とされる」
「えぇ。そうかもしれない」
「釘を刺すようで悪いが。勿論多数対多数なんて滅多に無いだろうな」
「ええ。助言ありがとう。貴方も素晴らしい動きだった。冷静で迅速。基本的だけど残酷なまでに……」
「流動的?」
「ええ。少なくとも能動的ではないわね」
「そうだな。AならB。CならD。僕は唯AなのかCなのか見極めるのが少し早いだけだ」
「その“少し”で生死が決まるなら『だけ』とは言わないわ」
苦笑する。頭の回転は僕よりも速いらしい。
「アームがガンだったら僕は負けていた」
「……」
「つまり、そういうことだ」




