反省
さっきのF/A-18、動きが鋭かった。最後の旋回の時の相手側のミスが無ければ危なかっただろう。
F-15は一世代前の期待だ。東西冷戦時に設計された。基本設計はかなり古い。
F/A-18も世代的には同じ分類に入るがソフト面では一歩進んでいる。同時ロックオンやフライ・バイ・ワイヤは馬鹿にできない。
遼機は撃墜判定だ。帰投しよう。
基地方位に向け140度ブレイク・ターン。上昇角20度で緩やかに上昇。
周りに敵機はいない。味方は帰投したのかもしれない。
AWACS《早期警戒管制機》から情報を取得。燃料も兵装も余裕がある。
操縦悍を押す。マイナスGで体が浮きそうになる。ハーネスが食い込む。
周りの景色は平坦。空に雲は無い。乾いた空気が喉を擦る。
* * * *
ヘルメットを脱ぐ。いつもより汗をかいている事に気付き、少なからず驚愕する。
途中まではいつも通りだった。やっぱりあのF/A-18……。
あのストール・ターン、太陽を背に突っ込んできた。
太陽を背にするのは諸刃の剣だ。少しぶれると逆にシルエットが強調されて見つかりやすくなってしまう。
しかも、そこでストール・ターン。並のパイロットにできる芸当ではない。少なくともそれをできるパイロットを僕は知らない。
本来、ジェット機にストール・ターンなんてできないのだ。対気速度が零では舵が聞かない。つまり、速度がなくなる前に、一瞬の間に機体を360度回転させ石ころのように落下させた。
F-22にだってできない芸当を、一世代前の機体で、しかも太陽に向けて。
あのとき速度が無かったから助かった。サイドワインダーの最低射程を切っていた。あそこでもし相手があらかじめ兵装を機銃にセットしていたら、相手のタイミングが一瞬遅かったら。此処に僕は居ない。勿論、この向こうの被撃墜用ハンガーに居るだけだが。
このあと空母が停泊したら話をしてみたい。そう思えるほどの期待。
浮き足立っている。
そんな自分に今日二度目の驚愕を感じながら機体を降りた。
すみませーん。
二世代前の機体で同じ事やってのける化け物がそのFのパイロットの親でーす。




