沖縄
日本、沖縄についた。
日本語は喋れる。日本に行くかもしれない、と初めて言われた時に勉強した。
甲板で並んで入港の感謝を示すのだ。
制服に着替える。割と早く住んだ。ドアを開け、廊下へ出る。早歩きで進む。上官に会った。勿論、艦の上官を全て覚えているわけではない。階級を見る。そのせいで人の胸を見るくせがつきそうだ。横により、道を譲り、敬礼。これを何回も繰り返しやっと甲板に出た。所定の位置につく。
* * * *
とりあえず、街に出た。市街地に着いたのは夜前だった。
町外れにレンガでできたバーがあった。中に入る。
中は薄暗く、少しひんやりしていた。三段上がってから十段下がる謎の階段を通ると、カウンターが見えた。
髭が伸びきったしわくちゃの顔のマスタがカウンターの向こうで座っていた。
上目遣いでこちらを睨んだ後、何も聞かないでオーブンに何かを入れ、スイッチを入れ、コーヒーを淹れて出した。湯気が呪う様に上がる。
ベルが鳴り、オーブンから物が出てきた。ミート・パイだ。ナイフとフォークが乱雑にトレーに入れてある。光の反射で見えたり見えなかったりする傷が時を物語っていた。
「これは何?」
ただでさえ疲れている。甲板に並んでマナーについてのミーティングで体力は限界だ。聞き返すのも疲れる。
「…何かあったのかい」
しわがれた低く静かな声だ。バーに少しだけ響く。何より驚いたのは英語だったことだ。独特のイントネーション。
話がかみ合ってない。黙ってパイを食べる。コーヒーは苦い。
マスタは黙ってグラスを磨く。
「答えたくなければ…いいが、人を殺したのか?」
思い出す。あのキャノピー、あの黒煙、火、そして血、血、血
極力感情を外に出さないようにしたが、やはり少しは出るものだ。
「ここはアメリカ兵がたまにくる。」
「お前さんは・・・パイロットかい?いや、警戒するな、パイロットってのは皆周りの観察が早い。それから、その体つきをみて陸なわけがない。後…」
コーヒーを飲む。あまり聞いても意味がない、と思った。
「なんとなく、オイルのにおいがした。キャリア・ファイタ・パイロットだな。言うのは自由だ。言うなら言う、言わないならタクシーーを手配する。」
「…パトロール中だった。高度2000ft、日本海上空、敵はその上からかぶってきた。ミサイルを撃ってきた。ブレイクしてかわし、そのままサイドワインダーで撃ち落とした。相手も新米だった。ベテランだったら今私はここにいない。」
「わしはゼロ・ファイタ・パイロットだった。」
いきなり話してきた。ゼロ・パイロットがまだ生き残っているのが少し驚いた。それだけだが。
「良いか、よく寝ろ。それだけだ。」
門限時刻になりかかっていたので店を出る。タクシーがとまっていた




