1/1
プロローグ
それはもう過ぎてしまった事柄だなって。
『嫌だ、助けて…。』
本当はあの時死ぬべきだったんだなって。
『来るなよ…殺さないで…。』
あの時、まだ生きたいって
『まだ、生きたい?』
思わなければ
『死にたくない…っ』
もう、全て手遅れだったんだ。
『生きたい…!』
ごく一般的な中学生だったはずだ。貧しくもなく、かと言って別に裕福というわけでもない家庭に育ち、普通の公立中学に通い、勉強も運動もそこそこ人並みで、それなりに特技も趣味もあり、一人っ子で両親がいて、密かに憧れてたりする子もいて、仲のいい友人もいて、普通の、本当に普通の中学生だった。
だけど強盗なんてのは本当に見境なくて、中学二年ももうあと一ヶ月くらいで終わり、そろそろ受験生かというある夜、家族全員寝静まった俺の家に潜り込んできた奴らは、寝ている両親をナイフで刺し切り裂き殺し、俺の部屋に入ってきた。
そのあとはあまり覚えていない。ただ「死にたくない」という思いしかなく、頭の中で目の前のことを必死に否定し続けた。
何がいけなかったんだろう?一体なぜこんな目に遭うのだろう?中学二年、指先が凍える季節、放心状態で事情聴取などを受け、意識がしっかりした頃には、遠い親戚の…小さな頃に一度会ったことのあるかないか…、そんな人の家で暮らしていた。




