表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

重役

作者: 紅茶猿

 ある大学に5人の集団があった。彼らは自らのことを、全員留年していることから落下人と称していた。

 彼らの日常のたいていは大学ちかくの喫茶店に居座り、リーダー格のYがメンバーのSをいじり始め、残りのメンバーがそれに便乗していくといった、よくある仲良しのグループであった。


 ある日、いつものように落下たちは喫茶店でぺちゃくちゃ話していた。すると、メンバーのRが、会社を作ったら面白そうだ、と冗談まじりに話題に出した。

 その話題に、いつもは口数が少ないSが切り込むように入ってきた。彼はノートを取り出し、その会社の方針やら、経営の方法やらいろいろな案を口に出しながら書きなぐっていった。

 いじる機会をうかがっていたYだったが、あまりにも現実的であったので、Sのいつにない饒舌さに引き込まれていった。

 それからというもの、喫茶店に一角は大学生の溜まり場から会議室へと変化していったのである。


 必要でありそうな知識を修得し、大学を卒業したYたちはすぐに小さいながらソフトウェア会社を設立した。落下ソフトと名付けた会社の社長の椅子にはYがすわり、Sは今まで以上に会社に情熱を注いだ。Sのだれも考えないようなアイデアから今までにない商品を世に送りだし、類を見ない速度で落下ソフトは成長していった。そして数年後には業界の王手企業までになった。しかし、Sのいじられ役というレッテルははがれておらず、Sを除いた落下人たちは何もしないような蜜を吸うだけの重役になり、Sだけは会社をまとめるような立ち位置に立たされた。


 そんな厳しい環境に立たされたこともあってか、Sは不慮の事故にあい、下半身不随になってしまい、会社を辞めてしまった。残されたYたちは大企業になってから10年以上もSに任せきりであったので、会社の経営の仕方がわからなかった。Sに助言を求めようにも田舎に引っ込むといったまま便りがない状態になってしまったので経営は悪くなる一方であった。残りの落下人たちがあたふたしているうちに落下ソフトの評判は文字どおり落下していったのである。



 そしてついに落下ソフトは、大手企業Nソフトに吸収されることになった。

 YたちはNソフト社長のNに招かれて、その会社の会議室に入った。

「はじめまして、Y氏。Nソフト社長を務めさせていただいておりますNと申します」

「落下ソフト社長のYです。貴方のような方にわが社を使っていただけるとは、まことに光栄でございます」 

「いえいえ。まったくの礼儀知らずでございます。本来ならば会長を参上させるべきでありましたが、なんせ足が悪いもので…」


初投稿です。ご指摘、お気づきのことがございましたら、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ