出会いは突然に
きっと、人生の中で一度は思うだろう。
ああ、こんな子が現実にいたらいいのに……と。
それは例えばTVの中で活躍するような有名女優だったり、アニメのキャラだったり。
僕の場合はそれの対象がゲームのキャラクターである。
「ええっと……ここどこ?」
もし、自分の目の前に、『さっきまでプレイしていたRPGのキャラが三次元化』されていたら……あなたはどうします? どうしますよ?
そう、僕の目の前には女の子がいた。
四畳半のそれなりに汚い部屋の真ん中にぽつんと、お尻と両手を下につけたポーズで。
白磁を思い起こさせるきめ細やかな肌と、徹底的に美と可愛さと萌えを追究させたようなスッとした顔立ち。その顔についた大きな蒼い目をぱちくりさせている。
銀色と水色の中間を表現したような流麗なロングヘアー。黒い布服の上に羽織る形で純白のローブに身を包んだその姿はまさにファンタジーのキャラそのものだ。
「――――あ」
辺りを見回した彼女は部屋の中で佇んでいた僕と目が合う。
僕はというと、震えていた。
それは恐れから来る物ではなく、ましてや体調不良などから来る震えでもなく。
ただ純粋に、僕は感動していたのだ。感動に打ち震えていたのだ。
「く、く、くくく」
「く?」
自然と口から漏れ出ていた僕の声を拾うように、目前の美少女が口を開く。
「く、クレアたぁぁぁぁん!」
「ぅ、うわぁっ!? きゃぁぁあっ!?」
僕は目の前の美少女に飛びついて抱き付いた!
そしてそのまま腰に手を回し、彼女の顔に自分の顔を近づけ、強引に唇を――――
が、彼女の右手から繰り出された高速の右ストレートが僕の顔面を捉え、そのまま意識はどこかに飛んだ。