表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この世は観測されるまで存在しない  〜世界で唯一魔法が使える俺が、日本の闇を書き換えた結果〜  作者: soletes


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/42

観測の外

※この物語はフィクションです。

あなたが観測するまでは。


夜。



 編集部。




 モニターに、複数の映像が並んでいる。




 大学周辺。



 道路。



 カフェ。




 すべて同じ時間。




 班目唯は、その前に立っていた。




「……ここ」




 画面を指差す。




 数秒前の映像。




 人の流れの中。




 宮島悟。




 確かに、映っている。




 だが。




 次の瞬間。




 “違和感”




「……止めて」




 斉藤が操作する。




 フレームが止まる。




 悟の姿。




 その隣。




 ほんのわずか。




 “何かがある”




「……何だこれ」




 斉藤が小さくつぶやく。




 拡大する。




 画質が荒れる。




 ノイズ。




 歪み。




 だが。




 “人の形”に見える。




 顔は分からない。




 ただ。




 そこにいる。




「……」




 班目は、目を細める。




「……これ」




 一拍。




「ずっといる」




「は?」




「他の映像も」




 操作する。




 別の時間。




 別の場所。




 同じような歪み。




 同じ位置。




 悟の近く。




「……」




 斉藤の表情が変わる。




「……見えてなかっただけか」




 小さく言う。




「最初から」






 映像が切り替わる。




 さらに過去。




 杉並の事件。




 同じように。




 “いる”




 だが。




 記録としては残っていない。




 ただのノイズ。




「……」




 班目は、ゆっくりと息を吐く。




「……いるのに」




 一言。




「……存在してない」






 夜。



 大学。




 人気のない廊下。




 悟は、一人で立っていた。




 何もしていない。




 ただ。




 “そこにいる”




 その時。




「見えてるか?」




 声。




 振り向く。




 二人。




 いつの間にか、そこにいる。




 一人は、静かに立っている。




 もう一人は、壁にもたれている。




「……誰だ」




 悟の声は、低い。




 警戒はしていない。




 だが。




 無視もしていない。




「観察者だ」




 静かな声。




 感情がない。




「で、こっちは傍観者」




 軽い口調で言う。




 片手を上げる。




「……何だそれ」




「名前みたいなもんだ」




 傍観者が笑う。




「分かりやすいだろ?」




「……」




 悟は、何も言わない。




 だが。




 違和感はない。




 むしろ。




 “最初から知っていたような感覚”




「……何しに来た」




 短く問う。




 観察者が、ゆっくりと答える。




「見ているだけだ」




 一言。




「……それだけか」




「それ以上は必要ない」




 淡々とした口調。




 傍観者が肩をすくめる。




「まあ俺らは何もしないから」




「お前が何やろうが」




「関係ない」




 あっさりと言う。




「……」




 悟は、その言葉を聞いている。




 否定もしない。




 肯定もしない。




 ただ。




 理解する。




 こいつらは。




 “関与しない存在”




「……観測はしてる」




 小さく言う。




 観察者が、わずかに頷く。




「そうだ」




「すべてを見ている」




「だが」




 一拍。




「何も変えない」




 傍観者が続ける。




「それが普通だろ?」




 軽く笑う。




「見てるだけ」




「それで十分」




 その言葉。




 どこか。




 聞き覚えがある。




「……」




 悟は、何も言わない。




 ただ。




 一歩、前に出る。




「……邪魔はするな」




 短く言う。




 観察者は、静かに答える。




「しない」




 傍観者が笑う。




「できねえしな」




 あっさりと。




「……」




 悟は、そのまま歩き出す。




 振り返らない。




 やることは決まっている。






 その場に残る、二人。




 観察者が、静かに言う。




「進んでいるな」




 傍観者が、軽く笑う。




「止まらねえだろうな」




 一拍。




「まあ、いいんじゃねえの?」




「どうなるか、見てれば」




 観察者は、何も言わない。




 ただ。




 その背中を見ている。


——この物語は、あなたに観測されたことで成立しました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ