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転生王子の再就職 〜エクセルという名の魔法を手に、ブラック企業を浄化する〜  作者: ☆もも☆


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第11話:王子、城(サーバー)を守る

融資継続の決定に、

アルファ不動産の事務所は歓喜の渦に包まれていた。


「やった……やったよ羽柴くん! これでみんな、クビにならずに済む!」


佐藤さんが一太郎の手を握りしめ、涙を流す。

松代さんも、お掃除の制服のまま静かに目尻を拭った。


「……皆のおかげです」


一太郎は照れたように頭を下げる。


社員たちの笑い声が、久しぶりに事務所に満ちていた。


その瞬間だった。


事務所のモニターが一斉に暗転した。


そして――赤く染まる。


「……ッ!? なんだこれは!」


画面に浮かび上がったのは、不気味なメッセージ。


《データ暗号化開始 残り10分》


「ウィルスだ……!」


若手社員が叫ぶ。


「顧客データベースと会計サーバーがやられてます!」


一太郎の顔が変わった。


「……九条殿か」


画面の奥で、ファイルが次々と暗号化されていく。


顧客データ。

契約書。

物件管理システム。


それらはすべて、会社の生命線だった。


「佐藤殿!」


「は、はい!」


「社内ネットワークをすぐ遮断してください!」


「でも、それじゃ作業中のデータも――」


「構いません!」


一太郎はサーバー端末に飛びついた。


「城門を閉じるのです。まず侵入を止める!」


LANケーブルが次々抜かれる。

社内ネットワークが遮断される。


だが――


メインサーバーでは暗号化が続いていた。


残り時間。


6分

一太郎の脳裏に、かつて城門を突破しようとする敵軍を、

魔法障壁一枚で食い止めた時の光景が蘇る。



今、目の前のコードの奔流と戦うのは、それと同じだった。


「……なるほど」


一太郎が小さく呟く。


「数値データだけを狙っている」


九条らしい攻撃だった。


効率を重視し、

すべてを「数字」で管理する会社の弱点を突いた。


一太郎はキーボードを叩き始めた。


「羽柴くん、何を――」


「復旧プログラムです」


「でもバックアップは昨日の夜で……」


「いいえ」


一太郎は言う。


「もっと新しいデータがあります」


画面に別のフォルダを開く。


そこに並んでいたのは――


現場ログ


清掃記録

修繕メモ

テナントとの会話

顧客対応履歴


佐藤さんたちが、日々コツコツと入力していたデータだった。


一太郎は笑った。


「九条殿は見落としていた」


「会社を支えているのは、会計数字だけではない」


プログラムを走らせる。


顧客メモから契約履歴を再構築。


修繕記録から物件データを復元。


手書きメモのスキャンから、顧客IDを照合。


残り時間。


1分


「間に合え……!」


一太郎が最後のキーを叩く。


――カチッ。


画面の赤色が消えた。


データ復旧完了。


同時に、事務所の入り口で、スマホを握りしめて立ち尽くす九条の姿があった。


「……なぜだ。僕の完璧なウイルスが、

なぜあんな非効率なデータの塊に弾き返される……!」


 一太郎はゆっくりと歩み寄り、九条を見つめた。

「九条殿。あなたは数字を信じても、人を信じていなかった。

私が守りたかったのは、単なる『数値』ではない。

この会社に流れる『日常』そのものなのです」


九条は力なく膝をついた。そこへ、松代さんが静かに歩み寄る。

「……九条くん。あんたの負けよ。

でもね、その才能、壊すために使うのはもうおしまい。

これからは一太郎の隣で、この会社を立て直すために使いなさい」


 九条は信じられないという顔で松代を見上げ、

やがて静かに頭を下げた。

 

最大の嵐は、一太郎の「愛のロジック」によって、

完全なる凪へと変えられたのだ。


その夜。

松代さんの家の庭。

月を見上げながら、一太郎は呟いた。


「……松代殿。私の役目は、これで終わったのでしょうか」


「……どうかしらね。

でも一太郎、あんたの本当の『魔法』は、

これから始まるんだと思うよ。」


月明かりの下

若き王子は、静かに空を見上げていた。


ご覧頂き、ありがとうございますm(_ _)m

本日、最終話まで投稿します。

よろしくお願いします。


最後まで、楽しんで頂けると嬉しいです(^-^)

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