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ループする街並み

アルベェータの先導で三人がついたのはスラムのような場所だった。

時折ホームレスが道端で寝ていたり、すれ違う人たちもどこかすれた雰囲気を醸していたりする。

スリの背格好について聞いて回ってみるとどうやら街の外れの城壁の方へ行くのが目撃されたらしかった。

三人が進む街並み、不規則に開発された家々と道は真っ直ぐ城壁を目指していてもあちこちへと分岐しスムーズに進むことを妨げる。

先ほどから誰ともすれ違わないし同じようなところをずっと通っているような風景が続いていた。


「あの…あそこの赤い屋根の家さっきも見ませんでした?」


メッチェンの問いかけに斗真は初めて頭上を注意して見る。

かなり鮮烈な赤色であり1度目につけば忘れそうにないものだった。

アルベェータもそれに同意する。


「魔力の流れも循環しています。にわかには信じがたいですが今我々は同じ場所をずっと歩いているようです。」


「そうなれば上に飛び出すか壁を破壊するとかしかないんじゃないか?」


「私の魔法も外に行けないみたいですしどうしましょう?」


そう慌てる二人にアルベェータは不敵に笑い応えを示す。


「この手の魔法の破り方には覚えがあります。お任せください。」


言うが早いかアルベェータは講義をするように話し始める。


「環境に干渉する系統の魔術は魔力効率が悪いんですし扱うのも難しいんです。

対象となる空間に自らの魔力を満たし循環させる必要がありますからね。

しかし破ろうとなれば話は簡単になります。

その循環を止めて()()()しまえばいい。」


そう言って彼は魔力を解放する。ソレだけで場の魔力は乱されるように蠢く。

しかしそれだけでは術者が用意した場は乱せない。

立ち上っていた魔力が持ち主のもとに収束されアルベェータが呟く。


停止(ストップ)


最初斗真は何の変化も感じなかった。

しかし変化を探そうとした斗真の首は終ぞ動かなかった。

なんだコレ!?という叫びさえも音にならない。

そこに物体的動きはなく、絶対的な静寂と斗真たちの意識だけがあった。

そんな静寂が支配する空間にコツコツと歩く音が響き渡った。

アルベェータは斗真の顔を覗き込むと愉快そうな顔でカウントし始める。


「5、4、3、2…

 1!」


カウントが終わると同時に周囲の空間、何もない空間にヒビが入って崩れていく。

世界は音を取り戻し、斗真たちにも自由が戻ってきていた。

唖然として立ち尽くす二人の前でアルベェータだけが不敵に笑っていた。


大規模な魔術を使ってまで隠していたのならこの先に何かある筈だと三人は先を急いく゚。

もうすでに日は傾いており非合法な取引が活発になる時間帯だ。


今にも崩れそうな家々の前の通りを走り抜けるとそこには大きな倉庫があった。

周りの建物に比べるとかなり小綺麗で新しい。

中で何が話をしているのが窓から漏れ聞こえてくる。

アルベェータは倉庫の入口の側に回り、残された二人は頷き合って同時に窓枠を乗り越えた。


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