スリを追う三人
外に出てみれば確かにアルベェータたちはそこにいた。
「アルベェータ!なんでお前がここに?」
「私はこの街の警備隊の副隊長なんです。
それよりも君と似たような名前の冒険者が捕まったっていうから確認したら、まさか君じゃないですか!」
状況を説明しようと思案する斗真にメッチェンが前のめりに尋ねる。
「あの 、トウマ君!大丈夫だったんですか?外まで怒鳴り声が聞こえていたんですが。」
先程出会ったばかりで斗真の事情に巻き込まれる形なってしまった少女はしかし本気で心配しているような声音だった。
「聞こえてたのか、ってかごめんな、俺の事情に巻き込んで取り調べまで受けさせちゃって。」
「いいんです自分で首を突っ込んたことなので。私の方はそこまで厳しくなかったですし。」
そう答えながら微笑む彼女は斗真にとってとても可愛らしく見えた。
未だかつて彼のためにこんなに心を砕いてきた女性はいなかった。
それに加えて彼にはそもそも女友達がいなかった。
一言でまとめるならば彼はチョロいのだ。
少しの間呆けた斗真だが自分はそんなチョロくないと無理やり意識を引き戻しアルベェータに話を振る。
「よし、アルベェータ!とにかく調査だ。事件現場に行こう。」
「ふむ…君とそちらの彼女の魔力以外何も感じませんね。」
爆発のあった地面を撫でていた手を払いながら立ち上がったアルベェータの呟きは斗真たちにとってあり得ないものだった
「そんな!私たちは確かに戦ったんです。相手の痕跡が残ってないなんて。」
「逆ですよ。ここには痕跡が無さすぎるんです。いかに人の少ない通りとは言え王都の中、君たち以外誰の痕跡も無いなんて不自然だ。
スリが起こした爆発とやらも証拠隠滅のためのものでもあったのでしょう。」
そうなれば捜査は難航しそうだと皆が思ったとき斗真の頭をふと疑問がかすめる。
「なぁ、スリは人のギルドカードなんか盗って何するんだろうな?」
「身分を偽造するためでしょうか?」
とメッチェンが応える。
「それは私も考えました。
しかしここ最近王都では単発の暴行事件などは増えていますが、組織的犯罪の兆候は見られません。
とすれば奪ったカードを外部に流している可能性もあります。」
「でもどこへ売るってんだ?」
そう聞くとアルベェータは表情を険しくし遠くを見つめるような表情になったが一瞬で元の優しそうな表情に戻る。
そして三人はアルベェータの先導で危険物などの受け渡しが多く行われると言う地域に向かい始めた。
一足先にワームで探索しようと思い立った斗真は眷属の少女に呼びかけてみる。
(おーい?)
(はい!貴方のリーブルです!
探索ですねお任せください!)
自分からもテレパシーをつなげられた事への安心感と声量という概念が存在しないコミュニケーション方法でびっくりさせられたことへの呆れと驚きで苦笑を漏らす斗真を同行する二人の顔が覗き込む。
「何か面白いことでもあったのですか?トウマ君?」
「気が抜けているじゃないですか、トウマ。」
一人は気軽に友人に尋ねるように、もう一人はやれやれ困った奴だと友人を諌めるように言う。
そんな二人を見て斗真は不器用に微笑んで
「あぁこれからもよろしな!」
と答えになっていないような言葉を返し駆け寄った。




