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殺したいほど憎いのに、好きになりそう  作者: 味噌村 幸太郎
第十章 冬休み

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縛るマフラー


 初恋の人、鞍手(くらて) あゆみはあれから学校をずっと休んでいる。

 よっぽどショックだったようだ。

 惚れている鬼塚に犯人として特定され、俺のところまで連れて来たからな。

 なんか、かわいそう……鬼塚を俺に盗られたと思い込んでいたし。


 

 俺へのいじめも無くなったことでクラスはまた平和になり、気がつけば12月も後半になっていた。

 待ちに待った冬休みの始まりだ。

 終業式に担任のねーちゃん先生から「危ないことはしない」「援助交際もしない!」と注意された。

 中学1年生で援助交際するとか、親の問題では?


 ~翌日~


 冬休みが始まったから、さっそく深夜までテレビを観ていたので寝不足だ。

 主に新人時代の”高塩(たかしお) 宗二郎(そうじろう)”アナウンサーを楽しんでいたのだが……。

 俺がなかなかリビングに降りてこないので、お母さんが部屋のドアを勢いよく開く。


「こらっ! 藍! もう10時よ、早く起きなさい!」

「へ? でも冬休みだから、もうちょっと寝かせてよ……」

「なにを言っているの!? お友達の優子ちゃんが玄関で待ってるわよ!」

「え? 優子ちゃんがなんでいるの?」

「お母さん、知らないわよ。あんたが遊ぶ約束したんじゃなかったの」


 あ、そう言えば、冬休みに優子ちゃんと遊ぶ約束していたな。

 最近、鬼塚とばかり遊んでいたから、優子ちゃんが嫉妬していたんだ……。

 たまには、友達と遊んでおかないとな。


 パジャマ姿のまま、急いで階段を駆け下りる。

 一階に降りたら、私服姿の優子ちゃんが玄関に立っていた。

 俺が遊ぶ約束を忘れていたのに、彼女は嬉しそうにニコニコと笑っている。


「おはよう、藍ちゃん」

「あ、ごめん……寝坊しちゃって、すぐに用意するから!」

「別にゆっくりでいいよ」


 優子ちゃんに悪いから朝ご飯は我慢して、とりあえず顔を洗って歯を磨く。二階の自室に戻るとクローゼットの中から適当に服を選ぶ。

 目が覚めて数分後には、自宅の外を歩いていた。


「いや~ 本当に今日が楽しみで仕方なかったよ~ 藍ちゃん、久しぶりに手を繋ごうよ」

「え? まあ、いいけど……」


 俺が彼女に手を差し出す前に、勝手に自身の手を絡めてくる。

 一度、俺の手を掴んだら離さない。女の子とは思えないぐらい強い握力だ。

 あれ……そういえば、俺って女の子と手を繋ぐの初めてじゃないか?

 しかし、相手が優子ちゃんだとなんかドキドキできないな。


「はぁ……こんな風に手を繋いで歩くのも久しぶりだよねぇ~」

「え? 前にも手を繋いでたの?」

「もちろんだよ~ あ、でも以前の藍ちゃんは、あまり長い間手を繋ぐと怒ってたかな?」


 前から思っていたのだが、俺が憑依する前の藍ちゃんて無理して優子ちゃんと付き合っていたのかな……。


  ※


 自宅からJRの線路を右側に沿って歩き続けると、踏切が見えてくる。

 ここを渡らないと、優子ちゃんの自宅には近づけない。今は赤信号だから通れないようだ。

 しばらくすると目の前を快速列車が通り過ぎていく。するとそのあとを追うように強い風が全身を突き抜けていった。

 一瞬にして、身体中が冷え切ってしまう。


「さ、さぶい……」

「だよねぇ~ だから、マフラー持って来たんだぁ~ 一つしか無いから、二人で巻こうね!」


 いや、そんなことを地元でされたら、俺たち百合として見られるよ。

 しかし、ここで断れば優子ちゃんの機嫌を損ねてしまう。

 我慢して首に巻くとするか……。


「あったかい~ 藍ちゃんの体温が伝わってくる~」

「このマフラー、ひょっとして手作り? なんか異常なぐらい長いんだけど……」

「気がついた? いつか藍ちゃんと一緒に使うと思って、私が作ったんだぁ」

「え……?」


 普通に怖いんだけど。

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